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4.おもい2
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「…………すみません……っ……!」
「えっ、今?!」
しかし暸は小さな声で謝ったかと思えば、突然ドアを力一杯押した。あまりに突然過ぎて、逆に俺がついていけない。
「おっ、来た来た!」
中では鳥羽が自ら呼んだ友人たちと談笑していた。その視線が一気に俺たちへと集まる。
暸はぱっと見いつもの無表情で、軽く会釈をした。少なくとも、あからさまに動揺しているわけではない。
「準備、できてるよ!」
「ああ」
暸は鳥羽のほうを向いてまた会釈した。思ったよりは落ち着いている。このまま上手くいってくれればいいけど。
チューニングをする後ろ姿も、特に問題はないように見える。俺はといえば、さっきから暸のことが気になって自分のチューニングが手につかなかった。だが、あまり心配しすぎなくても良さそうだ。
「準備できたか?」
俺はチューニングと心の準備を済ませてから、鳥羽と暸に一声掛けた。鳥羽は間髪入れずに返事をしたし、暸も準備はできているようだ。
「いくぞ」
俺の一言を合図に、ドラムのリフが入る。そこに俺と暸が乗っかって、ついにリハーサルのリハーサルが始まった。
練習期間が短いからか、全体的に走りがちなのが自分でも分かる。いついかなる時も走りまくる鳥羽はともかく、俺も、暸も。
――ん? むしろ今一番走ってるのは暸なんじゃないか? やっぱり、どんなに上手くても、覚悟を決めても、人前に出ると緊張してしまうんだろうか。
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