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意地悪Ⅳ
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「え?」
「俺、今のお前好きでもないし嫌いでもねぇ。」
「…………へ……?」
じっと見つめていると、ギロリと睨まれた。
「でもさっき告白……。」
「あれは昔の楽に向けてのな。楽に会えて嬉しくてつい勢いで言っちまったんだ。」
「じゃあ俺のこと好きじゃないの?」
「だからそう言って──…………」
面倒臭そうにこちらに目を向けた彼の瞳が、大きく揺れた。
「どっちが意地悪だよ……。」
こーちゃんの俺を抱き締める腕を振り払うと、俺はス……と立ち上がって彼の顔も見ようともせず去ろうとした。
「楽……っ!」
こんな顔は見られたくない。
きっと見られてしまっただろうけど、まだ酷く歪んでいる訳ではないし、涙だって抑えてる。
もっと遠くへ行って、誰もいないところで泣きたい。
この場から今すぐ逃げ出したい。
……なのに、後ろから強く抱き締められて、暴れても暴れても離してくれない。
「離してよ。」
「やだ……。」
──逃げられないじゃないか。
こんなことされたら、抑えきれないじゃないか。
「何……何だよ……っ。こーちゃんが俺をからかったんじゃないかっ。
俺さっき、好きだって言ったじゃないか……好きで好きでたまらないのに、こーちゃんにキスしたいし触わりたいし、こーちゃんの全部が欲しいのにっ……!」
──鼻の奥が痛み出すと、目の奥から涙がどんどん溢れて出る。
バレるのが嫌で、拳で必死に拭っていると、頬を押されて頭を横にされてしまう。
震える肩ごと抱き締めて、頬に伝う涙に柔らかい感触が押し当てられる。
「こーちゃん……っ。」
「楽……。」
「何でそんなことするんだよ、しないでよ……!!」
力んで、こーちゃんの手を思わず引っ掻いた。
けれど彼はびくともせずに、せっせと涙の粒を口に含んでいく。
「例え好きでも嫌いでもなくても、楽は俺の大事な人だから……。
楽を傷付けたなら、俺がちゃんと癒してあげたい。
……別に嫌ならしないけど?」
「離してって言っても離してくれないじゃん……」
「だってお前、嫌じゃないだろ?」
……ズルい。
「ズルいよそんなの……。酷いよこーちゃん……。」
「そうか?」
「そーだよっ……。俺がこーちゃんのこと好きなの分かってて、こんなこと……するなんてっ。」
「そーかな……。だって、楽はもっと酷いこと俺にしただろ?」
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