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絶対に落とされないⅢ
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「白舞楽夜(らくや)ですっ! 皆これからよろしくね!」
──それが、始まりだった。
入学してからずっと、彼女の噂は学園中に広がっていて、いつの間にか学園一の美少女とまで言われるようになっていた。
ただ視界の端に入る──だけでは済まなかった。
彼女は誰にでも好かれて、どんな厄介な人の心も開かせることができた。
──あれが魔性の女と言う奴か。
悪いけど、俺は絶対に落とされたりしない。
絶対に心なんか開かない。
そもそも、学園中の女子が彼女を悪く言っているのがいつも聞こえていた。女の子が嫌いと言う訳じゃないけど、聞いてて不快な思いをするのは確かだった。
でも君はそんな子達にも笑顔で話し掛けては、いつも楽しそうにしていた。
「大変大変大変大変だよっ!」
「も~白(しら)ちゃん何回言うの~?」
「校長先生の奥さん顔面ほくろだらけ!」
「「「ブフゥッ……!!」」」
その大きな明るい声は、教室中に響いていて、皆の笑い声を響かせてくれる。
君は簡単に皆の警戒を解いて、簡単に心に入り込んでくる。
それは俺も同じで、好きにならないなんて思っていながら、君の言動に笑ってしまっていた。
でも、まだだ。
俺はまだ落ちていない。
少し警戒を解かれただけで、君を好きになんてなっていない。
「ねえ、君、天川朋哉(ともや)くんだよね?」
「え……?」
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