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絶対に落とされないⅥ
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くっそぉ……このままじゃ、落とされちゃう……。
「あ、あの、天川くん、」
「な、何……っ?! ////」
今度は何を仕掛ける気!?
「このクッキーどうしよう。」
もしや白舞さんの指に握られたそれは俺が口に含んでいたクッキーでは!?
て言うか白舞さんの指先光ってるクッキー濡れてる、白舞さんごめん俺の方が汚いっ!!
「タ、タベルヨッ。」
パクっと彼女の指を加えないようにクッキーを食べていると、その甘くてさくさくで、ちょっとだけ塩の味がする、甘すぎないけどあまぁい手作りクッキーさんが幸せを与えてくれた。
そのうまさに感動して彼女の両肩を掴んで、ぐいっと自分へ引き寄せた。
「これホントに手作りかよ!? すっげぇうまいっ!」
「あ、ありがとう……!? //////」
「……?」
何で顔赤いんだ? ああ、誉めたからか。
「…………。……ッ!! ///// ち、ちっかッ!?」
バッと離れて距離を取ると、
「……う、うん。近かったね。へへ……////」
とまた可愛く照れ笑いを見せてくる。
はぅぅぅ……くぁいい……。くぁいいよ白舞さん……。
──て言うかなんなのその「へへ」って。
普通「えへへっ」ってぶりっ子するもんじゃないの。何でいい感じの位置に停滞してるの、何でいつもそんなに可愛いの。
ああ、分かったこの気持ち。
これ、小動物に懐かれて幸せな気分になるあれだ……。
ついつい頭を撫でると、白舞さんは真っ赤になって、目を瞑って猫のようにすり寄ってくる。
「……っ!? //////」
な、撫でられるの好きなのか……。
──やっぱりこれはあれだ、人気者とか小動物とかと仲良くなって舞い上がってるだけだ。
白舞さんは可愛いけど、癒しを与えられると言うか……いや待て、もしやこれも手口!?
「ね、ねえ、」
突然声をかけられて、反射的に撫でていた頭から手を離した。
「天川と、白舞さん、付き合ってんの……?」
恐る恐る質問する彼の周りには聞き耳をたてる複数の男女と、俺を睨み付ける複数の鬼達がいた。
……モテすぎだ白舞さん。
「付き合ってねえけど……。」
「なぁんだ、手作りクッキーをあーんされたり、指しゃぶったり、頭撫でたりしてたからさ、そう言う仲なのかと思って?」
あれ、何だこの目。何だこの後ろからの殺気。
……もしかして俺今脅されてる?
「ち、違うよ誤解だよっ! 私が無理矢理食べさせたんだよ、ねっ?」
「え、いや。俺も食べたかったし無理矢理ではないよ。」
白舞さんはぷくぅ、と頬を膨らまして目をうるうるさせて強い視線を俺に向けた。
……あれ、俺何か不味いこと言った?
「あ、もしかして、今、庇ってくれたの?」
こくんと頷いて、彼女は弱々しく肩をすぼめて、涙目でこちらを見つめた。
「えっと……俺白舞さんのことそんな風に見てないからあんまり気にしないでよ。」
「な、何の話だよ……っ!」
あ、そうだった、彼はまだ好きとは言っていなかったんだった。
でも冷たい視線は一緒か。
「おいトモ~、部活の先輩が呼んでんぞ。」
「え、おお。ありがと紅州。ごめん白舞さん俺──……」
──あれ?
白舞さんは紅州のことをちらちらと見ては頬を赤く染めていた。
そんな可愛らしい姿を見て、俺なんかに嫉妬するよりこっちに嫉妬した方が……と周りをおかしく思った。
だがまあ無理もない。
悪い噂は絶えないし、顔はいいにしても金髪に染めた髪が不良っぽく見えてしまうのだろう。
実際のところ性格の悪さはニガテだし、顔もイケてるが割と好みじゃない。こいつは何か嫌な記憶を思い出させる。
──でも、まあ、そんなことより……。
白舞さんには落とされない。
……けど、あの視線や表情を見て、胸が苦しくなった。
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