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お泊まり大会Ⅱ
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美しい顔立ちの少年が、囲まれて、中央で優しい微笑みを浮かべた写真があった。
何故かその1枚だけ大きい。
……そう言えば先生たちにも可愛がられて、ひいきされていたな。
と、当時の記憶が少しだけ蘇る。
その下を見れば名前だ。
小さい頃は目を通そうとすらしなかったが、今は気になって仕方がない。
その写真のキラキラ輝く可愛い笑顔に耐えられず、キスをする。
「今どこにいるんだよ……俺の王子様……。」
……これ、聞かれたら引かれるな。
王子って時点でもろバレるな。気を付けないと……。我ながら感心する、臭いセリフ吐いたなぁ……。
全神経を注いで見つめていた彼から視線を下へ滑らせた。ひらがなで名前が綴られていた。
「…………え……。」
そこには、
『しらぶ がくや』
……と、しっかりと書き記されていた。
子供とは思えない達筆だ。きっと家の人に書いて貰ったのだろう。
──いや、そんなことはどうでもいい。
「しら……ぶ……って……」
白舞楽夜(しらぶらくや)……学園一の美少女で、誰にでも気兼ねなく話しかけられる明るく優しい人気者。
王子様──しらぶがくや……幼稚園で一番人気のあったリーダー的存在だった。大体が彼の言動から全てを動かされるような日常だった。
彼を中心に身分が格付けされ、美しい者と平凡な者、そして醜い者が区別される。
彼は一番美しかった。
彼の美しさのせいで、こんなランク付けがなされたようなものだ。幼すぎるそんな時代に、権力だって存在した。
彼の一言に皆が家来のように従った。本当に王子様のような扱いだ。
彼に近づく女は多かった。特に二人の悪ガキ側近がへばりついて離れようとしなかった。
俺は途中から入園して、5年近く共に過ごしてきた彼らに比べたら、浮いた存在だった。
格付けがされた5年間、彼らはどんなことがあってどんな思いをしてきたのだろうか。
でも、皆に囲まれた彼の笑顔は皆を幸せにする。妬む者がいても可笑しくないが、彼事態は優しく、誰にでも平等な扱いをしていた。
ただ、俺と、後一人だけは違ったけれど。
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