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「……は?」
……彼の声は頭にしっかりと焼き付けられるのに、言葉の意味が理解できなかった。
「何度も言わせるなよ……。朋哉は俺のモノだから、忘れろって言ってるんだ……。」
「そもそも、トモくんとは何もなくて……ただの友達で……。」
──言った瞬間、ずきんと、胸の奥が痛んだ。
何故か、何故なのか分からないけど、胸が窮屈で不快だった。
「だから、〝友達〟ってのも嫌なんだよね。」
「は?」
彼は再び、目を細めて優しく笑う。
でも、瞳は冷たいままだ。
それでも美しい彼に見とれて、
毎回、不自然な恐怖を感じてしまう。
彼は優しく甘い、柔らかな声で、ゆっくりと口にした。まるで、脳へ直接話しかけられているように。
『──朋哉には俺一人でいいんだ。知り合いも、家族も、友達だって必要ない。もちろん恋の相手も必要ないんだ。』
聞き惚れていた。
『朋哉は俺だけのモノだ。手を出したらお前も殺す……。だから、君の為にも忘れた方がいい。』
──納得していた。
彼の柔らかい美声の中に、従順に従わせるような圧倒的な圧力が、ひそかに潜り込んでいた。
「……そうですね。」
『朋哉のことは、全部忘れろ、いいな?』
「はい。全部忘れます。」
『今このことも、俺のことも、全部だ。俺と朋哉に関する記憶は全て抹消しろ。』
「分かりました……。」
彼はパッと身体を離して、「ふん。ちょろいな。」と一言、俺を毒づいた。
──美しい笑顔で、蔑んだような瞳で、俺を睨み付けていた。
その美しい少年に見とれながらも、
彼がいったい何者なのか、何しにここに来ていたのか、思い出せない。と言うより、
……彼はただの通行人か。
いくら美青年だからって、俺に用事なんてないだろう、何考えてるんだ、俺。
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