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resetⅤ
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──トモ……誰なんだ。誰なんだよそれ。分かんないよこーちゃん。
分かんないよ……────くん……
「え──…………」
何今の。
俺は一体、今誰の名を呼んだんだ?
「お兄ちゃん?」
思い出そうとして、些細なことを思い出しても、強制的に削除されていく。
完全に、記憶を抹消される。
「──外で、何をしてたんだ?」
ふいに、こーちゃんが尋ねてきた。
「野菜を採ってただけだよ?」
「俺が身体を洗って、湯船に浸かってる間中ずっとか?」
「え──……っと……まあ、そうなるけど……。」
「──長すぎるだろ。何があった。」
「え?」
「誰に会ったんだッ!?」
こーちゃんは急に立ち上がって、胸ぐらを掴み上げる。
「だ、誰って……誰にも……っ?」
険しい表情をしながら、こーちゃんは俺を離して、「悪い」と一言謝った。
「ちょっと俺出てくる。」
扉を開けて、部屋を出ていく。
「待ってよ、こーちゃん! どこ行くの……!?」
「お前は着いてくんなッ」
「何で、俺何かした!?」
「お前は危険だから来るなって言ってんだよッ!!」
「俺が危険? ならこーちゃんだって────……!!」
どんどん階段を下りていくこーちゃんを追いかけて、玄関に来て、やっとこーちゃんの手を掴めた。
──それと同時に、玄関の扉が向こう側から、ドンッドンッ──と、荒々しく叩かれる。
「何?」
『白舞ッ!! 白舞──ッ!!』
──外から、家の中まで響きそうなほどの大きな声がする。
自分を呼んでいるのか、両親なのか、朝喜なのか分からない。けど、自然とこーちゃんの手を離して、玄関扉を開けていた。
「白舞、助けてくれ……ッ!!」
──目の前に、あの画面の中で真っ赤になっていた美少年がいた。
彼は俺の肩を掴んで、大きく揺すった。
……でも彼は、画面越しの美しさと、綺麗さとはかけ離れた姿をしていた。
服や肌は土で汚れていて、顔は青や赤色に腫れている。
鋭く切れた身の間から、真っ赤な鮮血が滴る。
「頼む、少しでいいから匿ってくれ……!!」
こーちゃんが心配そうな顔をして、「トモ、何があったんだ」と彼の恐怖一色の瞳を見つめる。
「紅州……何で、ここに……」
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