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「トモッ……逃げろ、早く……!!」
「やだ……お兄ちゃんっ……お兄ちゃんといる……っ」
「何言ってんだ、こいつはお前を──!!」
『黙れ……。』
トモヤくんに振り返っているこーちゃんの首を締め上げて、ゼッカさんは冷たい視線でこちらを見た。
『皆、今夜のことは全て忘れろ。』
──酷いほど、脳に響く美しい声だった。
『俺とトモヤのことも、この男のことも。全て。』
「やめろ──ッ……!! 忘れたくないッ……忘れられたくない……!!」
離されると、胸ぐらを掴み上げて、ぐんと顔を近づけて、泣き出してしまう。
その表情を見て、優しく微笑む。
でもやはり、瞳は冷たくて……怖さもあるものの美しすぎて見惚れてしまう。
「頼む……ッ……嫌だ。楽……ッ!!」
──美青年を掴み上げていた見知らぬ少年が、こちらに駆けてきて肩を掴んだ。
「楽……楽ッ!! 忘れてないよな、今夜、俺たち……一緒に──」
『……えっと、君は……誰?』
彼の悲痛な叫び声が、夜中に響き、遠くで瞬く星空と呼応する。
──俺たちは、その光景をただ不思議に眺めるだけで、困惑して躊躇って、誰も彼に近づくことが出来なかった。
泣きじゃくる彼の表情を見て、何故か胸が苦しくなる。
苦しくて苦しくてたまらない、けど、やっぱり近づけなかった。
彼の泣き顔も、声も、酷く寂しそうだったから。
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