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好きな人Ⅴ
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「お前を泣かせたんだ……。俺が。」
真剣な瞳だった。
まっすぐで、愛おしそうで、複雑な表情だった。
「……そっか…………。」
──彼の表情は印象的だった。
何処かで見たことがある。必ず見たことがある。
そう思えるモノだった。
「よく分かんないけど、いいよ。気にしないで。」
俺がそう言って笑うと、急に、彼の肩が近くになる。
口元が彼の肩に埋まって、鼻に彼の匂いがつく。
──人肌の温もりが伝わってきて、ようやく抱き締められたのだと気づいた。
「あ、あの……っ」
蛭ちゃんや周囲の人々は立ち竦んで、俺達を凝視していた。
胸と胸も、腰と腰も、その下のあいつも、ぺったりと密着して離れない。
なるほど、ポジションは左か。
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