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好きな人Ⅵ
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……って、そんなこと気にしてる場合じゃなくて……。
でも、この場の状況を理解しようとすると、心臓がうるさくなってしまうし……。
恐る恐るアマカワくんを見上げると、目が合って、逸らしてしまう。
ドキドキと胸の鼓動が早い。
……アマカワくんは男なのに、何で俺こんなにドキドキしてるんだろう。
頬に彼の手がそっと触れて、優しく顔を上げさせられる。
額に柔らかくて熱い、湿ったモノが触れた。
キスをされたのだと、すぐに判断出来た。
「な、何を……っ!? ///」
「……好きだよ。」
「えっ!?」
「俺、諦めないから……。」
「あ、と……!」
何で、だって、今日会ったばっかり……話したばっかり……
──俺は、君のこと、何も……何も、知らないのに。
蛭ちゃんがこっそり先に行こうとしていたので、付いていくと、アマカワくんも付いてくる。
蛭ちゃんは男二人と一緒に歩いて、平気なのだろうか。
彼女の表情を窺うと、別状気にもせず黙々と歩いていた。真顔だ。
もう空気としか見られていないかもしれない。
しばらく3人で無言で歩いていると、校門へ着く。
校門を通りすぎたとたん、アマカワくんが急に立ち止まった。
蛭ちゃんも俺も、何事かと彼につられて立ち止まる。
「「…………っ……!?」」
──俺と蛭ちゃんは息を呑む。声にならない驚きだった。
アマカワくんは、大量の涙を流して、酷く寂しそうな顔をしていた。
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