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7ー15
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【サキエルside】
身動きを封じたラファエルを見て、彼は口にした。『似ていないな』と。
ラファエルがウリエルの弟だと知っているのは魔族でも限られているハズ。
それを彼は躊躇する事なく言った。
僕もガブリエルも正直、驚きを隠せない。故に取り引きすら一切かけない侯爵が今回に限ってかけてくるとは。
「察しているのなら、それが応えだ。大天使サキエル…」
本当なら当たって欲しくなかったな。
ゼウダー卿の目的がウリエルだなんて…。
「伝えろ。大切な存在を返して欲しければ、フリティラリア・カムチャトケンシスが咲くこの場所に一人で来いとな。大天使ウリエルに…」
荒地であるこの場所に咲いているハズもないフリティラリア・カムチャトケンシスが一面に広がる。黒色というよりは赤黒に近い花。
花言葉である“呪い”が相応しい。それが、蒼の谷に満遍なく広がっているのだから不吉でしかない。
魅惑の花とは言ったものだ。
風に吹かれ、甘い香りが漂う。
何より、その花とゼウダー卿が一つの絵になってしまう。
「シイガ…」
「何だ…」
「後は好きにしていいぞ。ラファエルを抱きたいなら、抱いてしまえばいい。ただし、我の視界に映らない場所でやれよ…」
「いいのか?」
シイガ卿が大きく瞳を開いた。
「好きにしろ。餓鬼は守備範囲外だ…」
僕とガブリエルは唖然とした。
魔族が好みに五月蝿いのは百も承知だし、自分達の容姿を利用して人間を陥れるのが性質で娯楽の一つだと感じている。
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