アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
61
-
丁寧に身体を拭いて、手をひっぱる。さっきと逆だな・・・そんなことを考えながら。
ベッドに座らせて、足の間に跪いた。
「あなたに何をされても、俺はどこにもいきません。」
「・・・ヨリを戻したと言った。」
「ええ、ですから、あれは。」
「わかっているよ。
疑ってもいないし、わだかまりも何もなくなって親友に戻るという意味だってことぐらい。」
「じゃあ・・・。なんで。」
「一瞬で君がわたしの知らない誰かといるイメージが浮かんだ。
知らない男が君を連れて行ってしまう。あまりに強烈な衝動で、我を忘れてしまった。
音がしたよ、頭の中で、ブチンと何かが切れた。」
暗い瞳、妖しい光・・・。
「わたしは・・・あれは、佐藤にされたことと一緒だ。」
「佐藤・・・?」
「目隠しをして縛って、大勢の前でわたしを抱いた男だ。さっきしたことは、同じだよ。
どうして君にそんなこと・・を。」
確かに怖かった、経験したことのない羞恥心、孤独感。焦燥感・・・。
でも俺の相手は碧さんだ。
「でも相手は貴方でした。だから大丈夫です。
さっきも言いましたよ、あなたに何をされても、傍にいますって。」
キっと睨まれる。またさっきのように違う人になってしまうの?
ギュっと両手を握り、手の甲にそっと口づけた。
「あああ、君はどうしてそうやって・・・。じゃあ、わたしが他の男と寝ろと、そう言ったら君は寝るのか!」
ここで間違ったら取り返しがつかない、でも考える時間がない。
だとしたら自分がどうするか・・・だけを言うしかない。
「寝ますよ。」
「えっ。」
見開かれる瞳に漆黒の鏡の光が宿りはじめる、違うよ、碧さん、続きがある。
「その時は、横で俺の手を握っていてください。」
「な・・なにを。」
「あなたの体温に気持ちを委ねます。相手の男はバイブだと思い込みます。
大丈夫、俺は貴方の手が傍にあれば離しません。
心はそこにあり続ける・・・身体がその時どうなっていようが構いません。
他の男に挿入されて、さんざん腰を振られている俺の姿を横で見守っていてください。」
瞳に映るのは弱弱しい光と怯え。
よかった・・・間違わなかった・・・。
「貴方のいう事を聞いて他の男と寝たら、俺の気持ちを確認できますか?
そんなことが起こっても、俺が傍にいることを知れば安心できますか?
それなら・・・貴方が望むなら、そうします。」
「君は・・・バカだ。」
「ええ、恋は盲目です。」
もう一度、手の甲に唇を落とす。
「でも、そんなことをしたら、俺以上に貴方が傷つく。」
「・・・・・。」
「今だって、後悔して・・・自分を嫌悪して傷ついているでしょう?」
「あああ・・・・宏之・・・わたしは。」
「でもまだ俺は貴方の傍にいたいと・・・そう思っています。
さっき俺をバカだといいましたね。ええ、恋は盲目。
そして愛は奇跡です。」
「奇跡・・・。」
「他人にさっきのようなことをされたら、それこそ殴り捨てます。必死に抵抗します。
でも貴方が相手だと、受け入れることができる・・・。それで貴方が何かを得るなら、俺を使えばいい。
貴方が救われるなら、好きにしていい。
言ったでしょ?俺は貴方にメロメロなんです。」
膝に口づけを落とした。冷たい肌。
俺の体温が移ればいい・・・。
「貴方を愛しています。」
倒れ込むように抱き着いてくる貴方をしっかり受け止める。
貴方を支えます、何があっても・・・。
抱える闇がどれだけ深くても、何度でも引っ張り上げます・・・。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
82 / 122