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☆旦那様のお留守番①
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緑高❤︎黄笠❤︎青桜❤︎
嫁達は北海道に旅行に行ってしまった。
旦那達は寂しさを紛らわすために毎夜飲み会を開くが
心配になった嫁達は急遽飛行機に飛び乗った。
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【旦那様のお留守番】
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「…ちょっと待って!ストーップ!青峰っち!!」
黄瀬は隣に並ぶ青い頭の男に向かって叫んだ。
「…ンだようるせぇなぁ…。」
青峰は手にしていた塩の瓶を持ったまま、眉間に皺を寄せて、蜂蜜色の瞳を睨む。
もう片方の手には、粗く切られた野菜たちがフライパンの中でジュウジュウと音をたてている。
「…そんなに塩を入れたらしょっぱいっスよー!」
「…いーんだよ、これで。…塩を多めに入れた方が美味いんだよ…。」
黄瀬の忠告を無視し、パラパラと野菜に塩をかけると、器用にフライパンを回して、味を絡め、皿に盛り付けた。
その隣では、緑間が土鍋でお粥を炊いている。
「…あぁあ~!緑間っち!!お粥はそんなにかき混ぜちゃダメっスよー!!」
「……煩いのだよ、黄瀬!ちゃんと煮えているだろう!」
こちらも忠告を無視し、玉子の入ったお粥をスプーンでくるくるとかき回した。
自分の家のキッチンで、好き勝手に料理をする旧友に黄瀬はガックリと肩を落として、何度目か分からない溜息をつく。
そもそも、何故この様な状況になったのか…。
それは、二日前に遡る。
黄瀬が某テレビ番組の仕事で、3泊4日の北海道旅行のチケットを手に入れたのだが、生憎と休みが取れず笠松とのラブラブ旅行はお流れとなってしまった。
しかし、気丈な振りをしていても、笠松は気を落としている事が分かる。
そこで黄瀬は、何時もの嫁メンバーと旅行に行く事を提案した。
最初は断っていた笠松だったが、黄瀬が他の夫婦達に声を掛け、予定を組んでくれたのだ。
その好意を無下にする訳にもいかず笠松、桜井、高尾の何時ものメンバーは2日前に北海道へと旅立って行った。
4日だけ、寂しい思いを我慢すれば、幸男さんは帰って来る…。
自分が少し我慢して、代わりに幸男さんが楽しんでくれればそれでいい…。
……そう思っていたのに、癖のある2人の旧友が毎夜家に押し掛けて来るので、寂しいと感じている暇がない…。
もしかしたら2人も、嫁がいない寂しさを紛らわせる為に来ているのかも知れない…。
そう思うと、黄瀬は苦笑いを浮かべた。
「……なにニヤケてんだよ…。野菜炒め出来たから食おうぜ…。」
「……お粥も出来たのだよ…。」
大皿と土鍋を手に持って、キッチンからリビングに向かう背中を追う様に「…俺も直ぐ行くっスよ!」と黄瀬も自分が作った料理を手にして歩いて行った。
綺麗なテーブルの上には、バランスの欠片もない料理が並んでいる。
歪な人参と大きく切られたキャベツの野菜炒めと、スープに近いお腹に優しい玉子粥、そして、バーにでも出てきそうな繊細でお洒落なアペサイダー。
3人の男達は、その品々をツマミに酒を飲み、食卓を囲んだ。
黄瀬が恐る恐る野菜に手を伸ばし、意を決してパクリと口の中に頬ばれば、想像していた様なドギツイ味ではなく、ピリッと胡椒の効いたスパイシーな味だった…。
「……あれ?…しょっぱくないっス…。」
「…だから、塩入れていーんだって言っただろ。」
ドヤ顔でビールを飲む青峰に、緑間が「……だが、人参が生焼けなのだよ…。」とツッコめば「人参は生でも食えるだろーが!」とキレた。
「…そー言うテメーは、何でお粥なんだよ…。これじゃ酒は飲めねーだろーが。」
「…俺は、料理が壊滅的に下手な緑間っちがお粥作れる事に驚いたっスよ。」
「……煩いのだよ…。…これだけは作れる様にしたのだよ…。」
緑間が、手にしていた日本酒をグッと煽る。
「……だから、何でお粥なんだよ?…もっと他にも色々あんだろーが…。」
「………和成のため…なのだよ…。」
「…高尾のため?…どういう事っスか…?」
酒の勢いもあってか、緑間は少し遠くを見つめながら話を始めた。
「……昔、和成が高熱を出して寝込んだ時があってな…。俺は医者だから、風邪の対処や薬を出す事は出来る…。…けれど、食事は何も作ってやる事が出来なくて、不甲斐ない思いをしたのだよ…。…だから、せめて病気の時ぐらいは何かを作ってやりたくて、お粥の作り方を覚えたのだよ…。」
「…へぇ~そんな事があったんスね~。」
「…お前の唯一出来る料理ってわけか…。」
頷きながら、取り分け皿にお粥をよそると、青峰と黄瀬はレンゲをパクリとくわえる。
「……………普通に美味いな…。」
「……美味しいっスね…。」
見た目はぐちゃぐちゃだが、玉子の微かな甘味と塩加減が絶妙にマッチして、優しい味わいを醸し出しており、これなら病気の時に出されても、ペロリと平らげそうだった。
「…フン、当然なのだよ…。」と言いながら、得意げに眼鏡を押し上げる緑間を他所に「……美味いけどよ、やっぱ酒の肴にはなんねーわ…」と青峰はレンゲをテーブルに置いた。
「…おつまみって言うのはこういうのを言うんスよ!」
黄瀬が自分の作ったアペサイダーを取り分けて、2人に手渡すと、パクリとサーモンのマリネに食らいつく。
それに続いて、緑間と青峰も箸を動かした。
バジルとまろやかな酸味が口の中に広がって、サーモンの味を引き立て、自然と酒が進む。
これは文句の付けようがない、酒の肴だった。
「……ビールに合うな…。」
「……日本酒にも合うのだよ…。」
「……勿論、白ワインにもピッタリっスよ。」
黄瀬は手にしていた白ワインのグラスを揺らしてみせた。
「…お前、いつもこんなこ洒落たモン作ってんのかよ…。」
「……まぁ、そうっスね。…幸男さん、お酒強くはないんスけど、飲むのは好きだから、俺が休みの日とかは代わりに料理したりするっスよ。…2人はやらないんスか?」
その問に、青峰と緑間は気まずそうな顔をする。
「……俺はごくたまーにカレー作ったりしてる…。」
「…たまにって、どれぐらいっスか?」
「………………半年に1回ぐらい……。」
「…それじゃ、料理してるって言わないっスよ!……緑間っちは…?」
「………料理など、していないのだよ…。」
「……お粥以外は全くっスか…?」
「………あぁ……。」
「…ほら、俺より酷い奴がいるじゃねーか!」
青峰が小馬鹿にして笑うと「……仕方ないだろう!包丁を握ると、危ないと言って和成が包丁を奪うのだよ!」と怒鳴り、おちょこをテーブルにバン!と叩きつけた。
メッ!と怒られている様子が目に浮かび、黄瀬と青峰は腹を抱えて爆笑する。
「…喧しいのだよ!笑うなっ!!」
「…だって、外科医としての包丁捌きはピカイチなのに、料理包丁は持たせて貰えないなんて…!www」
「…お前、高尾に子供扱いされてんじゃねーの?www」
「…何も手伝わずにゴロゴロしている奴に言われたくないのだよ!」
その一言に、青峰の眉間に皺が寄る。
「…あぁ?…俺は言われた事はちゃんと手伝ってるよ…。…それに、良は家事をする事に生き甲斐を感じてんだ。楽しそうにやってんのに、横槍入れる訳にいかねーだろ…。」
ピリリとした空気に黄瀬が慌てて割って入ろうとすると『ピロン』と黄瀬のスマホが鳴り、続いて青峰と緑間のスマホも鳴る。
3人はスマホを手に取ってLOINEの画面を開いた。
「…あ!幸男さんからっス❤︎」
「…お、良からだ…。」
「……和成……。」
それぞれのメールには、嫁達の写真と短い文が添えられていた。
『差出人:和成
件名 :和成君からのラブラブメール❤︎
本文 :やっほー☆真ちゃん。
俺達は今、旅館の露天風呂に入り終えて、皆で夕飯食べてるよ!真ちゃんは何してる?
ちゃんと三食くえてるか、スゲー心配…。(´•ω•̥`)
とりあえず、今回はデリバリーでもコンビニ弁当でも何でも許すから、ちゃんと食ってな!
帰ったら真ちゃんの好きなお汁粉作るから、もう少しだけ待っててよ☆
真ちゃんが俺を忘れないうちにまた連絡するな。(*´³`*) ㄘゅ❤︎』
『差出人:良
件名:良です。
本文:大輝さん、ちゃんとご飯食べてますか?僕は今、皆さんと一緒にお部屋で夕ご飯を頂いています。
温泉にも入りましたが、広くて景色がとても綺麗でした。
浴衣に袖を通している時、大輝さんがこれを着たらきっと恰好いいんだろうなぁと思い、何だか恥ずかしくなりました…。(*ˊૢᵕˋૢ*)
美味しいお料理を沢山食べたので、家に帰ったら真似して作ってみますね。楽しみに待っていて下さい。
またメールします。すいません。』
『差出人:幸男さん❤︎❤︎
件名:無題
本文:大丈夫か?ちゃんと仕事行ってるか?何だか俺達だけ楽しんでいてすまない…。
この旅館は静かで趣がありいい所だ。後で涼太の休みが取れたら、今度は一緒にここに来よう…。
後2日後には帰るから、それまで待って居てくれ。
また連絡する。』
写真は時計台の下で手を振っているものと、嫁のそれぞれの浴衣姿、そして、今食べているらしい夕飯の食事風景だった。
その写真を眺めながら、旦那達は深い溜息を落とす。
「……なんか、幸男さん達めちゃくちゃ楽しそうっスね…。」
「……あぁ…。」
「………そーだな…。」
画面の写真を眺めたまま、しばしの沈黙が訪れて、黄瀬は「…あぁ~もう!」と叫び立ち上がった。
「…しんみりしてても、明後日まで嫁達は帰って来ないんスよ!…こうなったら、もうやけ酒っス!」
黄瀬がキッチンに姿を消すと、ワインボトルを片手にリビングへと戻って来た。
「……とっておいた限定のワイン、空けるっスよ!」
2人の目の前にボトルを差し出すと、青峰が「…上等…」と笑って酒を受け取り、緑間は「……フン…」と鼻を鳴らしてグラスを渡した。
3人の周りには空になったワインボトルやビールの空き缶などが溜まりはじめて、段々と呂律が回らなくなってくる。
完全に酔いの回った男達は、嫁自慢を始めた。
「……見ろよ、お前ら、良のこのケツの形!スゲーエロいだろ?」
「…何言ってんスか、青峰っち!幸男さんの裾から見えるお未足の方がエロいっスよ!」
「……お前達の目は節穴か…?和成の項を見ろ。…色気が溢れ出ているだろう!」
先程メールに添付されていた嫁の浴衣姿を見ながら、旦那達は嫁のエロさについて語り合う。
「…ンだと、コラ!良はな、泣きながら感じてんのがスンゲー可愛いんだよ!」
「…幸男さんだって、負けないっスよ!真っ赤になって必死で声を抑えてる姿が超可愛いんスから!」
「…和成は大好きだと言って、しがみついて俺を離さないのだよ。そんな姿を見たら、可愛いとしか言えんだろう!」
酒のペースはどんどんと早くなり、会話の内容も濃くなる。
そんな時、緑間のスマホが鳴った。
フラフラとした手でスマホを取ると、シャンとした声で「……緑間です…。」と名を名乗る。
『…もしもーし、真ちゃん?』
聞きなれた声に、緑間の頭は覚醒した。
「…和成か…。」
『……あれ?誰かと飲んでんの?』
「…あぁ…、黄瀬と青峰と飲んでいるのだよ…。」
『…そ〜なんだ。…でもなんか、真ちゃんご機嫌じゃん!…楽しんでる感じ?』
「……お前について、話していたのだよ…。」
『……俺について…?』
「…和成は良く気がきいて、何でも出来る可愛い妻だと自慢していた。」
『…………………………。』
「………和成?」
『……真ちゃん、実はスゲー酔っ払ってるだろ…。』
「…俺は酔ってなどいないのだよ!」
『…はい、はい、分かったから、もう寝とけよ?…じゃーな。』
一方的に電話が切られ、緑間はスマホを持ったまま、機嫌が急降下する。
そんな様子を見ていた黄瀬が「…どーしたんスか?緑間っち?」と問うと「……和成に、一方的に電話を切られたのだよ!」と緑間は酒を煽った。
「…ダッセー!嫁に振られてやんの!www」
「…煩いのだよ!…そう言う貴様は電話すら来ないではないか!」
綺麗な指先をビッ!と青峰に向けると同時に青峰のスマホから着信音がなり、青峰は「…フン…」とドヤ顔をして電話に出た。
「……おう、良か…。」
『…は、はい、良です!』
「…そっちは楽しいか…?」
『…はい、お陰様で楽しく過ごさせて頂いてます!すみません!』
「………楽しい、か…。」
『……大輝さん…?…どうされ……』
「……良の飯が食いたい……。」
『……え…?』
「…抱きしめて良の匂いが嗅ぎたい…。俺の下で、めちゃくちゃにして、泣かせたい…。良のエロい泣き顔が見てぇ……。」
『………っ……!!…ス、スミマセン!!!』
『……ブッ!!……ッー、ッー…』
「……チッ…良のやつ、切りやがった…。」
悪態をついて青峰も酒を煽ると、緑間がフフンと鼻を鳴らし「…卑猥な事を言うからだ、馬鹿め。」と笑った。
「…なんで、二人だけ電話来るんスかー!?俺だけ来ないなんて、幸男さんヒドイっス!…愛が足りないっスよー!!」
うわーん!!とテーブルに伏せっていると、黄瀬の携帯が鳴って、黄色い頭が勢い良く起き上がり、電話を手にする。
「…もしもし!幸男さん!?」
『……よぉ、涼太…。…お前、青峰達と一緒に居るんだろ?』
「……何で知ってるんスか…?」
『…今、高尾から聞いた。』
「…あぁ、成程…」
『……ちょっと飲み過ぎなんじゃねーか?』
「そんなことないっスよ。皆で楽しく嫁自慢しながら飲んでるっス♪」
『…嫁自慢って…。』
「……………ハァ……。」
『……どーした?』
「……幸男さんの声聞いたら、凄く逢いたくなったっスよ……。本当は直ぐにでも逢いに行きたいけど、でも、約束だからあと2日我慢するっス…。」
『……涼太…。』
「……ねぇ、幸男さん…。…俺の事愛してる?…俺は凄く愛してるよ…。まだ2日しか離れてないのに、胸に穴があいたみたいに空っぽで寂しいんスよ…。」
「……だから帰って来たら、沢山キスしようね…。勿論、それ以上の事も…。…寒くなった俺の身体温めてよ…。」
『………ッツ…!…独りで布団にでも入ってろ!馬鹿野郎!!』
『………ブッ!………ッー、ッー…』
「…幸男さん!?…あぁ~、切られたっスーー!!」
再び机に突っ伏して、うわーん!!と叫んでいると、「……ほら…」と青峰が黄瀬にビールを差し出した。
「……青峰っち…」
「…振られたモン同士飲もーぜ。」
「…彼らにも休息が必要だ…。…嫁達が楽しんでいるのなら、これ以上俺達が口を挟むべきではないのだよ…。」
「…緑間っち…。」
ビール缶を受け取ると、黄瀬は立ち上がり、グビグビとビールを飲み干す。
「…ぷハッ…」と小さな息を吐いて缶から唇を放すと「…俺、もっとおつまみ作ってくるっス!」と言いながら、フラフラした足取りでキッチンに消えて行った。
その後、豪華な料理を手に戻って来た黄瀬を、泥酔した2人が迎え入れると、更にエロい話題で盛り上がり、嫁自慢に華を咲かせて、夜を明かした。
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