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変えられなかった想い 5 ※R18
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頭の血が遡って、とうとう、殴ってしまった。握り締めた拳に、鈍く痛い感触が残る。相手の方はと言えば、ものすごい形相で俺の顔を睨んでいる。
チッ
舌打ちをするのが聞こえる。
「何なんだよ、あんたは一体。」
そう言い放った相手に、それは俺が聞きたいよと言いたかったのを必死でこらえて、俺は梅村君を抱きしめる。見ず知らずの男は、機嫌が悪そうに「無視?」といった。
俺は気にせず抱きしめ続ける。君をこんな風にしたコイツが許せない。自分もまた、許せない。
何度も射精したのだろう。梅村君の前も後ろもベトベトだった。
不潔。
そんな言葉が脳裏を掠める。
だけど、それでも、今俺の腕の中で荒々しく呼吸をしているのは、俺の愛してやまない人なのだ。目頭が熱くなる。
「梅村君……向かえに…来たよ……」
意識なんて無いだろうが、お構いなしに俺は君を強く抱きしめる。
お願い、聞こえて。
君の心に、この思いよ届け。
そうしていると、突然後頭部に激痛が走った。梅村君をそっとベッドに寝かせて後ろを振り向くと、男がいつの間にか俺の後ろに回って殴ったらしい。
「貴様、よくも梅村君をこんなになるまで……。」
許せない。
単純に、その感情だけが俺の中で巡る。
「お前こそ、人の恋人取って、楽しかった? ひどいよね。俺と透は両想いだっていうのに。今だってほら、そんなになるまで俺にすがりついて、喜んで腰を振っていたんだよ?」
ぐったりと目を閉じた梅村君を指差して、そいつは乾いた笑いを見せた。
なぜだか、俺はそいつが嘘をついていると思った。
直感で。
確かに、俺といるときは透がいきなり俺とセックスをしようとした。でも、あの時、それは間違いだといったはずだ。だから、透はもう、そんなことはしない。そう思えたのだ。
「お前、梅村君をこんなにまでして、虚しくないのか?」
俺が挑戦的にそう言うと、一瞬変な顔をした。訳が分からないとでも言いたそうだ。
「虚しい? 俺は透君と一緒にずっとこうして行くんだ。もう、離さない。誰にも渡さない。はは、はははは」
「!!」
途端に狂ったように笑うそいつに、俺は悪寒がした。
同時に、梅村君を連れて、逃げなければ! とも思った。
「さあ、もう、浮気相手とは別れなきゃね。透君。」
「透に触るな!!」
「へー、浮気相手の分際で、良くそんなことが言えるよね?」
じわじわと近づくそいつ。
だめだ。目が完全に逝っている。
逃げないと、でも、どうやって?
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