アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
変えられなかった想い 7
-
にやりと笑った葉山が口にしたのは、男の人のか女の人のか分からない名前だった。
「入ってきてくださいよ、松潟遥さん。」
「え?」
男はすごい勢いで玄関先を見た。
「若葉……。」
玄関から入って来た人は、ガタイがいい男の人だった。
恐らく俺たちよりも年上だ。
「おい、なんで遥がここに?!」
さっきまでぐったりと横たわっていたはずの男が起き上がっている。どこにそんな力が残っていたんだろうか。
「若葉、葉山君から全て聞いたよ。」
物悲しそうな表情をしている松潟さんは、男の方へと歩く。葉山は、男から手を離してその場をすんなりと離れた。
「若葉さん、アンタみたいなクズにも心配してくれる人がいたんだよ。」
「へ?」
「若葉……」
ぎゅっと、男を抱きしめる松潟さん。なんだろう、これは?
「や、やめろ遥!!」
「嫌だ。」
松潟さんはじっと抱きしめたまま動かない。
「遥、お願いだから今の俺を見るな!!」
「どうして? 離れないよ、俺は。こんなの見たくらいじゃ、全然嫌いになれない。」
「遥?」
未だ状況を把握できていない俺と男に、呆れたのか葉山がため息を吐いた。
「いいですか、若葉さん。遥さんはアンタのことを心配して来てくれたんすよ? 何で心配するか……分かんないみたいですけど。」
「若葉、取り敢えず帰ろう。」
もう一度、ギュッと抱きしめて切なそうに囁く松潟さん。男も、正気の目に戻っていた。
「……あ、ああ。」
「ほらよ。」
河崎が、散らばっていた服をまとめて男に投げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 38