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梅村の日常
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セツを避けるようにしてこの一ヶ月を過ごしてきた。我ながら、呆れる。
そう言えば、俺、セツに別れようって言ったかな。
ちゃんと、言ったっけ。
学校へ行こうと早朝に家を出ると、葉山が通学路にいた。
気まずいけれども、葉山なら大丈夫だ。俺の汚いところ全てを知っているコイツとなら、話せるし、一緒にいてもそこまで苦しくならずに済む。
「梅村、おはよう。」
葉山が俺に挨拶を投げかけてきた。
俺はといえば、明るさを装うこともできずに葉山に挨拶を返すだけ。
「梅村、最近元気がないよな。セツとも話そうとしていないし。」
セツという単語に思わずギクリと肩が震えた。
「そ、そうかな。」
目を見ずにそう答えると、葉山は少しの沈黙を作って続けた。
「お前、苦しい顔してる。俺は心配なんだよ。」
優しく諭すようような声。
ああ、本当に……
「葉山……お前には叶わないな。」
苦笑しながらそう言うと、俺の顔を覗き込むようにして葉山は俺に問う。
「もしかして、また何かあった?」
「え……」
葉山は、もしかして何か知ってるんじゃないのか?
だが、次の言葉を聞いて俺はホッとした。
「あんなにセツとイチャイチャしてたくせに突然梅村が避け始めてるの見て何もないと思う方がおかしいだろ。」
ああ、なんだ。
ただ察しただけか。
「セツが何かやらかしたのか?」
って、え?
セツのせいって、思われてるの?
「違う! セツは悪くない!」
気づけば、俺は感情的になっていて最近俺の身に起こった出来事を全て話してしまった。
ああ、涙が出る。
この涙の正体がなんなのかは俺にもわからない。
わからないけれど、苦しい。
「梅村さ、お前はどうしたいんだよ。」
「お、俺……。俺汚いから……だから、ダメ……。」
そう言って、俺は自分の家へと逃げた。
俺は、何を今更傷ついているんだろうか。
「セツの方が、俺は好きだな。」
先程、葉山が俺の頭を優しく撫でながらぼそりとそう呟いたのを、俺は聞き逃してはいなかった。
俺だって……
え?
俺だって……何だよ?
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