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変わらぬ想い
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河崎に言われて、自分自身に嘘をつき続けるのはやめにした。
そしてその日のうちに、俺は若葉さんに電話をした。
それは、別れを告げるため。でも、電話で告げるのは良くないと思った。だから、直接会って話をすることになった。
翌日、俺は学校に行った。こんな気まずい状況でも、席は変わらない。俺の後ろには必ずセツが座る。朝、ギリギリに来たセツが一瞬だけ俺の前で止まった。俺が挨拶をしようかどうか迷っていると、悲しそうな顔をしてすぐに後ろの席に着いてしまった。
横を通り過ぎるセツを見て、河崎の言っていた言葉の意味が少しわかった気がした。俺はセツを大切にしているつもりだったけれど、俺のしていたことはセツを幸せにすることではなかったのだと思い知らされた。
どこか寂しそうだった表情を思い出しては、目を伏せる。
セツ、俺ね。
やっとわかったんだ。
誰になんと言われようと、俺はセツが好き。
河崎は浮気を本気にしてしまえばいいと言った。
その通りだと思う。
俺が好きなのはセツ。
若葉さんじゃない。
俺が好きでもないのに若葉さんと付き合うっていうのも、若葉さんに失礼だ。
だが、ふと、若葉さんの言葉を思い出してしまった。
――透君、ひとつお願いを聞いてくれるかな?
――そいつと、別れて。
なぜか、ゾッとした。
俺は、日曜日に若葉さんに別れを告げに行く。そして、その後再度セツに告白をするんだ。もう一度、君と一緒にいたい。また、間違ったことをしたらちゃんと叱って欲しい。愛して欲しい。
そんな事を思っていたら、目頭が熱くなって涙がこぼれていた。
幸い、俺の前の席の人が大きくて、担任からは俺の姿が見えていない。誰にも気づかれることなく、その涙を拭った。
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