アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
変わらぬ想い 3
-
若葉さんと約束した当日が来た。あの人が俺の家に来るのはいつぶりだろうか。考えてみたけれどもはっきりとはしなかった。ただ、一年という月日が経っていることだけは確かだ。
時間になると、玄関の方からチャイムが鳴った。
「どうぞ。」
俺は玄関のドアを開いて若葉さんを招き入れた。
「ありがとう。お邪魔します。」
いつ見ても変わらないその人を見て、少しだけ安心した。
「俺が透君の家に来るの、いつぶりだろう。」
周りを見渡しながら言う若葉さん。俺もさっき同じことを考えていましたよと伝えると、嬉しそうな顔をした。正直、その様子を見て複雑な気持ちになる。今から別れ話を言おうという時に、俺は……。
「良かった。」
俺が一人で考え込んでいると、フッと笑いながらそう言った若葉さん。どういう意味なのかわからなくて首を傾げていると、若葉さんが補足した。
「電話のときの透君、なんだかとても思いつめたような声をしてたからさ。……俺、心配していたんだよ?」
くすりと笑ったあと、ぼそりと付け加える。
「てっきり、別れ話を切り出されちゃうのかと思ってたし……」
その言葉を聞いて、俺は言葉に詰まった。その様子を見て察したのか、若葉さんは鋭い目で俺を見てきた。
「あれ? 当たっちゃった?」
言えない。手が震えるばかりで何も言えない。
どうしよう。昨日までの勇気は一体、どこへ消えてしまったのだろう。
じわじわと俺に近寄る若葉さん。お互いに無言で、部屋にかけられている時計の音だけがなる。
カチ、カチ、カチ、カチ
刻一刻と距離が縮まる。
嫌だ。
嫌だ。
もう若葉さんの吐息が感じられる程に近い。それなのに、何も言えないでいる自分が不甲斐ない。
「透君。」
若葉さんは俺の気持ちなんてお構いなしに抱き占めた。いつもよりきつく抱きしめられて、息があまりできない。
「震えないで。」
俺の耳元で囁かれる声。
嫌だ。
「大丈夫だから。俺が、いるから。」
違う。
どんなに甘い言葉を囁かれようと、優しく背中をさすられていようと、震えは止まらない。その理由なんて簡単だ。俺の求めている人が若葉さんじゃないからだ。
助けて。
誰に助けを求めているのか、求めていても誰かが来るはずがないということも俺は分かっている。
徐々に、俺の背中をさすっていた手が服の中へと侵入していく。それに気づいた俺は、懇親の力で若葉さんを突き放した。というよりも、俺の方が軟弱だったため、よろけて後ろにあったベッドに倒れ込んでしまった。
まずい。
急いでベッドから起き上がろうとする。だが、それは許されなかった。目をぎらつかせた若葉さんが俺の上に覆いかぶさってきたからだ。力強い腕が俺をベッドへと沈める。
「い、痛いっ!」
とてつもない力で肩を捕まれ、俺は悲鳴を上げた。涙で歪む視界から若葉さんを見ると、ぎらついた目が見えた。
「知っているかい? 俺は透君のことが好きなんだ。君のすべてが好き。特に、君の何かに絶望しているときの表情が一番好きなんだ。行かせないよ……。君は俺だけのものだ。」
今までに見たことがないくらいに歪んだ顔。怖くて何も言えない。
「大丈夫。そんなに怯えないで。君は俺が守るから。君は常に儚い存在であるべきだ。強くなんてならなくていい。」
「い、いやっ」
「嫌? 嬉しいの間違いだろう?」
「嫌だっ、あっ……」
手が、俺の下半身を弄り始めた。俺は不覚にも感じてしまい、声が出る。その声に反応した若葉さんは、ニヤリと笑った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 38