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自意識過剰の運命
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6月に入り、気温はぐんぐんと上がっていく。
この日、履修科目を午前で終わらせた俺と裕司は一緒に昼食をとるべく街を歩いていた。
「今日バイトあるんだろ?」
「あるよ、居酒屋だけね」
「何時から?」
「6時に入っとけば大丈夫」
時計はもうすぐ1時をさす頃だから、時間はたっぷりある。
バイトまでの時間たっぷり寛いで、今日も一生懸命働こう。
心のなかでガッツポーズをとりながら、何を食べるか提案する。
「今日も暑いからなぁ...。暑いとそんな食欲出ねぇんだよ」
パタパタと服を仰ぐ裕司に、お前は女子か!と突っ込みたくなった。
「どっかいいところ無いかな」
ポツリと呟いて、考えていると..
「あれ、秀くん?」
後ろから聞きなれた声が聞こえた。
「っ、!?」
自分の大好きな人の声につい反応してしまい、咄嗟に振り返る。
ばっと景色が変わったそこに立っていたのはやっぱり俺の想い人だった。
俺のバイト先のオーナーであり、絶賛片思い中相手である沢木春道さん。
こんなところで会えるなんて..、運命に似た者を感じてしまう。
「やっぱり秀くんだ!今日は学校はないの?」
「今日はもう終わったんです。今は友だちと昼食を食べにきてて..」
「そうなんだー」
優しく微笑みながら話しかけてくる沢木さんに俺の頬を緩みまくりだ。
隣に裕司がいるとか最早関係ないね!
だって、今俺の前にいるのはいつものワイシャツ姿ではなく、私服姿の沢木さんなのだ。
思う存分目に焼き付けないと..!
「沢木さんは何してたんですか?」
一人でこんなところを歩いているなんて珍しい。
聞いてもいいだろうかと不安になりながらも、問うてみれば沢木さんは笑顔で応えてくれた。
「智樹にね、渡したいものがあるからついでに一緒に昼食でもどうかって言われてね」
彼の口から出てきた、思いもよらない人物の名前にピクリと反応してしまった。
高堂智樹さん。
沢木さんの友人で、最近俺も仲良くさせて貰っている男の人だ。
実は先日もらったメールを未だに返してなかったりする...。
「智樹のやつ遅れるって連絡があってさ、そこらへんでコーヒーでも飲もうかなって思ってフラフラしてたんだよね」
そんなときに秀くんを見つけたから、つい声をかけちゃったよ。
友だちといるのにごめんね、と眉をさげる沢木さんの可愛いこと..!!
「全然大丈夫ですよ。よかったら時間潰すの付き合いますよ!」
あまりの可愛さに気づいたらそんなことを零していた。
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