アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1ページ目 8 弟side
-
上田城から始まり、駅の銅像、街の外観。マンホールまでカメラに収めて兄貴は満足そうだった。
博物館とか、何も残っていない山とかあちこち連れ回されて疲れた。
「啓太、楽しかった?」
帰り道、ハンドルを握る兄貴がこちらに一瞬ちらりと視線を向けてきた。
「ん。」
「本当に?」
返事をすると疑り深く聞かれる。
顔に出さないようにしていても兄貴には自然と俺の考えが分かってしまうらしい。
「お前はすぐ顔に出るんだよ」と言っていたけれど兄貴以外の人からは俺は何を考えているのか分からない、と言われる。
「本当だよ。」
「そ?ならいいんだけど。」
それでもまだ兄貴は疑っているようだった。
正直、何も残っていない山肌を見て興奮できる兄貴はどうかしていると思う。
あまり興味のない展示物を見ても面白くなかったし、ただただ疲れた。
だけど、楽しかったのは本当。
基本インドアの兄貴から誘ってくれたのは嬉しいし、二人きりのドライブは久しぶりだ。
なにより、普段見れない兄貴の姿が見れた。
いつも以上に饒舌で、子供みたいに目をキラキラさせてはしゃぐ姿。
「また行こうな!」
「ん。」
「次はどこがいい?青葉山城?メジャーなところで言うと名古屋城とか大坂城、今なら人凄いかもしれないけど姫路城も行きたいよな。それとも長野泊りこみでゆっくりまわろうか。松代城行きたかったんだけどさすがに距離があり過ぎるから断念したんだよ。松本城も行きたかったし。」
「………。」
寝た振りを決め込むことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 228