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寝たフリをするつもりが、本当に眠ってしまったらしい。
「疲れた?」
「ん…。」
目を覚ますとあたりは真っ暗で、すでに家に着いていた。
せっかく兄貴を独占できる時間だったのに勿体ない。
兄貴は遠く離れたところにアパート暮らしをしてそこから大学に通っている。
面倒臭がりな兄貴が家に帰って来てくれることは滅多にない。
会えるのは週に1日か2日か。俺から会いに行かなければ会うことはできない。
俺にも兄貴にも予定があるからたまに会えない日もある。
そんな貴重な時間を寝潰してしまったのはかなり惜しい。
兄貴が写真のデータをパソコンに落として、プリントアウトされたものを俺がアルバムに収めていく。
途中で俺が写ることを拒否したから後半はほとんど風景のような、城跡の写真ばかり。
「ちょっと兄貴ッ!」
一番最後の写真を見て責めるような声で兄貴を呼ぶ。
「ん?」
いつの間に撮られたのだろう。
その写真は、俺の寝顔だった。
「あんまり幸せそうな顔をしているからつい、ね。」
窓によりかかって少しだけ口が開いている。
今度から車の中で寝るのは止めようと誓った。
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