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遠慮なく弟の唾液がべったり付いた手を洗わせてもらう。
迎えに行ってやれば手首に痕が残るくらい強い力で掴まれて引きずられるようにアパートに戻ってきたかと思えば力任せにドアに押しつけられて一方的にキスされて見えるところに痕つけられて。
普通だったら怒るところだけれど、仕方ない。
俺は啓太の「モノ」だから。
俺の右耳に、そして弟の左耳に付いている赤いピアスは所有物の象徴、のつもりらしい。ついでに弟とお揃いのこの腕時計も。
そのくせ見えるところにわざと痕を付けたり、服の下なんか、来るたびに何かの儀式のように弟が痕をたくさん付けるから、消えかかって入るけれどところどころ青く変色してて何かの病気みたいで気持ちが悪い。
ここまで弟が俺に執着するのは俺の存在を亡くなった「兄ちゃん」に重ねていたから。
いくら弟が「俺が好きなのは優斗だよ」と言ってくれても「兄ちゃん」の存在がなかったらここまで執着されることはなかったと思う。
「お前に好きな人ができるまでお前のモノでいるよ」、とは言ったものの俺も「兄ちゃん」に嫉妬するくらいにはこいつのことが好きだったりする。
右耳のピアスは弟に半ば無理矢理空けられたものだったけれど、左耳にしているシルバーのピアスは俺が弟に送ったものだ。
当然、弟の右耳にはシルバーのピアスが付いている。
洗面所…と言ってもシャワーとトイレが一緒になっているユニットバスから戻ると弟が一週間分散らかされた俺の部屋を片付けていた。
「夕飯まだだよな?何かある?」
「カップラーメンなら。あとご飯は炊いてある。」
いつもなら帰りがてら客足の少なくなったスーパーに立ち寄って食材を買い込んで帰るのだが、今日は寄らなかったため家には何もなかった。
「そういえば前買ったうどん、まだ残ってる?」
「あるよ。」
「じゃあそれでいい?」
「ん。」
部屋の片づけもそこそこに弟が流しの前に立つ。
頼んでもいないのに、弟が毎週足繁く通って俺の部屋の家事をして行ってくれる。
アパートに引っ越してきたのは俺が高校を卒業した3月のことで、5つ離れた弟はまだ反抗期真っ盛りの中学生。
おふくろは何にもしてくれなかったけれど弟はしぶしぶながらも荷造りの手伝いをしてくれた。
運びだしは全部おふくろの車を借りていたり、借りれない時があったりしたため遅々として進まなくて新学期が始まっても引っ越し作業は全部終わらなかった。
だから毎週のように弟が手伝ってくれて、荷解きして収納まで手伝ってくれた。
引っ越し作業をすべて終えても、弟は毎週毎週俺のアパートに通い続けた。
「あんたはだらしがないから」、だそうだ。自分の部屋じゃないのだから放っておいてくれてもいいのに俺にまで潔癖を押し付けてくる。まぁ口うるさいだけで弟が勝手に片づけてくれるからかえって助かっているのだけれど。
ちなみに「あんた」という見下したような呼び方だが口の悪いおふくろと一緒に生活をしているのだからまぁ…仕方ないかな、と思っている。
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