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今のはきっと、車が近くの道路を通って行った音。
視界を閉ざされるということがこんなにも心許ないとは思わなかった。
微かな音でさえ身を強張らせてしまう。
狭いはずのこの部屋がやけに広く思えてならない。
冷房のかかっているこの温度に、寂寞感が募る。
ここは俺の部屋なんかじゃないのかもしれない。無限に広がる闇で、俺は永遠に一人ぼっちなのかもしれない。
くだらないと思いつつも、心がざわつく。
寂しい、怖い。
早く帰ってきて。
「けーた…。」
誰もいない空間に、何度も弟の名前を呼んだ。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
一生とも思える時間が終わりを告げる。
トン、トン、トン、と聞こえる一定のリズムがだんだん大きくなっていき、ガチャと大きな音が響いた。
もしかしたら隣かもしれない、とも思ったけれどドアの閉まる微かな衝撃が床から伝わってきて自分の部屋のものなのだと教えてくれた。
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