アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2ページ目 27
-
兄貴ごめん…。兄貴。
その声はあまりにも悲痛なものだった。
額にキスされて、覆い被さるようにして抱きしめられた。
抱き返したかったのに。
解こうと手を動かそうともがくけれど解けなかった。
それに気付いたのか、俺の上から重みがなくなって手首を触られた。
見えないことが怖くてつい身体が反応してしまう。
「大丈夫だから」と弟の声が聞こえて両手首を縛めていたものが取り払われる。
首の下に手が差し込まれて後頭部を少し浮かした状態で目隠しをされていた布が緩んだ。
ギ、とスプリングが軋んで弟がベッドを降りたのが分かった。
自由になった手で目の上の布を外すと眩しさに目がくらむ。
身体を起こして弟の手を掴んだ。
「兄貴?」
眩しくて、弟の手を掴んだままもう片方の手は目を覆った。
弟は何も言わずに俺の目が慣れるまで待ってくれた。
だんだん目が慣れてきたとき、目を細めて弟の顔を窺う。
逆光で分かりにくいけれど心配そうな顔をして俺を見ていることが分かった。
すっかり目が慣れる頃には若干眉を下げて、辛そうな顔をしているのがよく分かる。
「先シャワー浴びて来いよ。ごめん…ほんと、ごめん。」
啓太は俺が好きで、俺だって啓太のことが好きなのにどうしてこんな顔をさせてしまったんだろう。
今にも離れそうな手をぐいっと掴み、自分の元へ引き寄せた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 228