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ケイは昔から表情に乏しい。
昔はそれでも泣きそうなくらい顔を歪めたり、難しい顔ばかりしていたのだが、ある時期からほとんど出さなかった喜怒哀楽を全く出さなくなった。
じゃれついてくる猫の相手をしている今も無表情。
いくら餌をやったり世話をしているのがケイだからと言って、よくこんな何を考えているか分からない子に懐くものだ。
ああ、でもユウの前だけでは顔をほころばせていたっけ。
ケイが感情を表さなくなったのは高校3年生の頃のユウが進路を決定してからだった。
ずっと家から通える距離の大学を希望していたのだが、高3の夏、進路を今通っている大学へ変更した。
それを知ったケイはユウと5つ違いだから中学1年の時。
ユウの進路を変更させたのはあたしだった。
目的はケイをユウから離すため。
ケイは家に来た時からずっとユウにべったりだった。
同じ家の中なのにどこに行くにもユウの後をついて歩いていた。
ユウが小学校を卒業してもわざわざ中学校まで迎えに行っていて登下校をともにしていた。
友達はいる、と聞いたことがあったけれど一度も家に連れてきたことはないし、一緒に遊んでいる姿も見たことがなかった。
遊ぶのも、勉強するのも、寝るのも、何をするにもユウと一緒。
ケイが中学に上がった頃から反抗期も重なって兄離れは始まったようだけれどこのままではケイの将来の為にならないと思い、遠くの大学を薦めた。
最初は不満そうだったけれど理由を話したら納得してくれた。
ユウが遠くの大学へ行くと聞いたケイは興味がなさそうな、つまらなそうな表情をしていた。
この反応を見る限りだとあたしの心配も杞憂かと思ったのだけれど、ユウがアパートへ引っ越していって、ケイは変わってしまった。
そうさせたのは、あたし。
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