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「ああ、明日だけど兄貴こっち来れないって。」
ケイが透明なガラスで出来たグラスに大きい氷を入れて、そこになみなみとウィスキーを注ぐ。
「あんたいつの間にユウ誘ってたの。」
明日は割引券を貰ったからケイと食事に行く約束をしていた。
ユウは誘っていない。誘えとも言ってない。
「焼き肉だろ?兄貴好きじゃん。」
「あたしと二人きりなのが嫌なわけ。」
「そういうわけじゃないけど。」
口を開けば「兄貴、兄貴」とそればかりで面白くないのでからかってみるが、期待していた反応は返って来なかった。
「最近兄貴、こっち帰ってこないよな。」
目の前にグラスを出された。
からかったことには何事もなかったように平然としていたくせに、ユウのことになると表情を曇らせて寂しそうな顔をする。
最近、といっても前回ユウが帰って来てからまだ1ヶ月も経過していない。
「あたしが言ってあげようか。」
グラスを片手にそう言うとケイが真っ黒の瞳を少し開いてあたしを見た。
期待に満ちた熱いまなざし。
「兄貴課題が多いから、って言ってた。邪魔しちゃ悪いし、いいよ。」
不愛想にそう言うくせに、目は正直だ。
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