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「ほら、携帯貸しな。」
何度も断られたのだがとうとうケイが折れて使いこまれた黒のガラケーが手渡された。
この携帯はユウが以前使っていたもの。
ユウが高校に入学する時に持たせて、卒業する折にスマホに買い替えると言い手放したものだ。
まだ中学生のケイに持たせるには早いとも思ったのだが、半ば強制的に二人を引き離す罪悪感から携帯を持たせてやることにした。
ケイにも新しい物をと思って3人で携帯ショップへ行ったのだが、ケイはユウの使っていた物でいい、と言い今に至っている。
使いこまれた携帯の着信履歴の一番上の人物に電話を掛けると割と早く電話に出た。
「ふぁ……。どうしたの、けーた…。寝れない?」
欠伸をして半ば呂律の回っていない声でけだるげに言う。
壁にかけてある時計を見るともう零時近かった。
「あんた今何してたの。」
聞かなくても分かるけれど。声からして寝ていたことは明らかだった。
起こされたことに関して怒るどころかケイを心配しているようだった。
それにしても一度寝たら地震が来ても雷がうるさくても気付かないユウが着信に目を覚ますなんて。
「は?おふくろ!?」
ボケっとした口調から一転、声に緊張感が混じる。
「あんた明日帰ってきなさい。」
「え゛、来週までに提出しなきゃいけない課題があって…。」
しどろもどろに答える。
「今からやりなさい。」
「はぃ?」
間抜けな返事が返ってきた。電話の向こうでは百面相をしているのだと思うと笑えてくる。
「寝ている暇があるなら今から課題片付けなさい。」
要件のみを伝えて、通話を切った。
「ユウ明日来るって。よかったわね、ケイ。」
「…ありがと。」
複雑な表情を浮かべてあたしの手から携帯を受け取った。
ケイがユウばかりなのは妬けるけれど、あんな寂しそうな顔を見せられたらなんとかしてあげたいと思ってしまうあたり、あたしはこの子に弱い。
・ ・ ・ ・ ・
優斗side
暗くて静かな部屋に、ツーツーと言う電子音だけが響いている。
時刻を見ると、課題と睨めっこをした後ベッドに入って30分くらいしか経過していない。
いつでも気付けるようにと弟のために枕元にスマホを置いて寝ているのだが、深夜にかかってきたことは一度もなかった。
何かあったのかと電話に出たら弟じゃなくておふくろで、急に明日帰ってこいと言われた。
そういえば昨日弟に食事に誘われたっけ。
でもそれはおふくろが俺を誘え、と言ったのではなく弟の好意でしたことだと思っていたのだが。
おふくろが俺を誘うことなど今までなかった。弟の話だと二人で食事に行くことはよくあるらしいから、きっと弟がおふくろに何か言ったのだろう。
「はぁ。」
大きくため息をつき、眠い目を擦りながらゆっくりとベッドから這い出て閉じたばかりのパソコンに電源を入れた。
お粗末さまです!
今まで自分ルールとしてお兄ちゃん、弟縛りで書いてきたのですがお兄ちゃんが出て行ってしまったあたりの弟の話を書きたかったので自分語りをしない弟に代わって優子さん視点で書かせていただきました。
弟の学校生活をいつか書きたいと思っているので弟くんの友達sideも書かせていただきたいと思っております。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
2015/8/13 たつみ
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