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「兄ちゃん、食べて。」
「これはお前のお菓子だろ?」
「食べて。」
「わかった。じゃあ半分こしような。」
どうして、こうなってしまったんだろう。
算数教えて、とドリルを持ってきた可愛い弟。
猫さん描いたよ、って下手くそな絵を見せてきた可愛い弟。
あの優しくて可愛い弟は、何処へ行ってしまったのだろうか。
横抱きにされて、歩くよりかはだいぶマシだけれど小さい振動でさえ気持ち悪い。
ドクン、ドクンと小さく脈打つ弟の心臓の音が、堪らなく耳障りだ。
ようやくアパートに到着して、鍵を解錠するために一旦下ろされ、弟に寄り掛かるように片手で抱きしめられている。
情けないことに身体が言うことを聞かなくて弟に縋りついていないと今にも倒れてしまいそうだった。
もしも逃げるチャンスがあるとしたら、今だ。
弟は鍵を開けることに気を取られていて俺を抱く腕の力は強くないから今ならこいつを振り切ることができる。
家に入ってしまったら鎖に繋がれて逃げるどころかベッドの上から動くことすらできなくなってしまう。
ガチャン。キィ…。
逃げるなんて、できるはずがないんだ。
大きな金属音がして、ドアの開く音がした。
逃げられないと分かっているのに、馬鹿な頭は何度も何度も何度も何度も何度も逃げる道を探している。
逃げられる隙を窺っている。
もし、そんな機会があったとしても逃げることなんかできないのに。
押されるようにして家の中へ入り、壁に身体を押さえつけられ、唇を塞がれる。
初めてこいつに犯されたのも、金曜日だった。
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