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4ページ目 16 弟side
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鼻血と、涙と、唾液と、そして俺の精液にまみれて眠る顔。
汚い。
ここ最近眠れていないのだろうか。くまが酷くて心なしか顔色が悪くてやつれている。
おまけに、俺が殴ったせいで腫れてしまっている。
青臭いような独特の体液の匂いと、汗の匂いが混じり合った匂いが充満していた。
それが堪らなく不快で、窓を開ける。
生ぬるく湿気を含んだ風が俺に纏わりついた。
これが恋だと、認めたくなかった。
認められるわけがなかった。
まだ中学生の頃、酔い潰れて眠っている兄貴にキスをした。
「した」、なんて表現は不適切かもしれない。見えない何かに引き寄せられたという方が正しいのかもしれない。
好きという感情は、いまいち分からなかった。欲求不満だっただけかもしれない。
冷静に何やってるんだろうと思った自分がいた。
ただスリルと「兄」という存在に対しての背徳感に心臓を高鳴らせただけかもしれない。
だけど、少しアルコール臭い唇の感触が忘れられなかった。
キスなんて、男も女もきっと大差ない。
そう思うのに、他人と唇を合わせてみても思い出すのは介抱させられた兄貴が二十歳の誕生日の夜。
酔っ払いのあの薄くも、厚くもない唇だった。
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