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4ページ目 21 弟side
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洗濯機を動かすのは本日二度目だ。
堰を切ったように泣いていた兄貴はようやく落ち着いたかと思ったらそのまま眠っていた。
起こさないように汚れた服を脱がせて身体を拭いてやり、新しい服を着せてやった。
汚れたシーツを剥がし、代わりにバスタオルを敷き、その上に寝かせた。
洗濯機が回っている間にもう一度シャワーを浴びる。
夕飯をもっと軽いものにしてやればよかった。
いや、口に入れた瞬間戻したんだから何でも同じか。
兄貴は吐きながら、泣きながら、ガタガタ身体を震わせながら何度も何度も「ごめん」を繰り返した。
悪いのは俺だ。
今日は一段と顔色が悪くて体調がよくないだろうことは分かっていたのに無理をしてしまった。
具合が悪いなら言ってくれればいいのに、と思ったがすぐに取り消した。
不調を理由に拒まれたことに腹を立てて暴力をふるった過去がある。
そう言い出せなくしたのは俺だ。
そもそもこんな状態を招いたのも俺だ。
左手首の包帯を取ったら拘束痕の他に無数の赤い線が刻まれていた。
リストカットの痕。
以前咎めたことがあったのだが、どうも自傷せずにはいられなくなってしまったらしい。
手首だけでなくそれは左腕全体に広がっていた。
手首に関しては、綺麗な線じゃなくて傷口がぐじゅぐじゅになって包帯に血が滲んでいた。
自分で傷口を抉ったのだろう。痛みすら感じなくなってしまったのだろうか。
精神的に限界が近いのかもしれない。認めたくはないけれど。
そうなるくらいならば俺のことを受け入れてくれればいいのに。俺を受け入れない兄貴に腹が立つ。
そんな理不尽なことに腹を立てる自分に腹が立つ。
俺のしていることはただの押し付けだ。
一方的に押し付けられて、拘束されて受け入れられるはずがない。
本当はこんなこと、したくないんだ。
だけど最初のやり方を間違えてしまったから。
これ以外に兄貴を繋ぎとめておく術を知らなかった。
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