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4ページ目 23 弟side
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先程まで仰向けだった兄貴が背を壁に向けて横向きになって眠っていた。
兄貴も寝がえりを打つんだな、なんて当たり前なことを思った。
首輪で繋いで、手足を縛ったまま寝かせると起きるまで仰向けの状態のままだったから。
変に動くと首が絞まるし、寝がえりが打てなかっただけかもしれない。
隣に寝そべると兄貴の目が薄く開いた。
身体を強張らせていたけれど髪を梳くように撫でたらすぐに目を閉じて寝息を立て始めた。
相当消耗しているのか、或いは。
拘束をしていなかっただけで兄貴はホッとした顔をしていた。
背中を擦ってやっただけで縋りついてきた。
髪を撫でたら泣き出した。
無防備に、子供みたいに。
いつもみたいに唇を噛みしめて血を滲ませるそれとは違っていた。
髪を撫で続けているとくすぐったかったのか鬱陶しかったのか、一瞬顔をしかめてから俺に背を向けるように寝がえりを打った。
変われない、だろうか。
俺がこの人の視界から消えるのが一番いいのだろう。
こんな状態になってしまった今でも傍を離れようなんて思えないから。
事実は変えられない。過去には戻れない。
だからせめて、やり直せないかなって。
後ろからすっかりやせ細った兄貴を抱きしめた。
そうすれば少しでも昔みたいに戻れるかもしれない。
俺を見て笑いかけて「けーた」って呼んでくれる日がくるかもしれない。
俺のことを愛してくれるかもしれない。
そんな都合のいいことを考えながら目を閉じた。
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