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「好きだよ、兄貴。」
「……うん。」
外は晴れているのだろうか、それとも曇っているのだろうか。
多少なりとも光が差し込んでいるから雨ということはないかな。
カーテンが閉め切られた狭いアパート3階の角部屋。
弟の上に跨って、弟の首に手をかけていた。
俺の手首を掴むのは、弟の手。
「好き。」
「うん。」
「愛してる。」
「……ん。」
「兄貴。」
「………。」
「兄貴。」
「……ッ!」
首を掴む手を、弟が離してくれない。
目から零れ落ちる雫が弟の顔を濡らしてゆく。
「俺のこと怖いだろ?」
怖い。
「恐ろしいだろ。」
恐ろしい。
「逃げたいって、思っただろ。」
ずっと、そう思ってた。
「苦しかっただろ?」
苦しかった。
「痛かっただろ?」
痛かった。
「死にたいって、思っただろ。」
何度も思った。だけど、できなかった。
「俺が死ねばいいのにって、思ったろ。」
なんで、そんな顔してるの。
いつもほとんど表情がないくせに。
「あんたいつまで俺に喋らせる気なの。」
勝手に喋ってるだけじゃん。
いつも無口なくせに。
「早く殺してよ。名残惜しくなる前に、さ。」
今から殺されるというのに。
なんで、笑ってるの。
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