アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4ページ目 33
-
「できないッ!!できるわけがない!!なんでだよっ、なんでッ!」
手首を掴んでいた手が背中に回り、引き寄せられた。
目から大粒の雫が溢れてきて弟の服にいくつもいくつも染みを作った。
身体が震えて、止めたくても止められない。
好きと言うなら、なんで殴ったんだよ。
愛していると言うなら、なんで縛ったんだよ。
怖かったよ恐ろしかったよ逃げたかったよ苦しかったよ痛かったよ死にたかったよ。
分かっていたなら、なんで犯したんだよ。
死ねばいいのにって、殺してやりたいって、何度も何度も思ったよ。
それなのに。
なんで最期に優しく抱きしめるんだよ。
チャンスができたのに、なんでできないんだよ。
されたことをなかったことにはできない。
昔のように元通りになんてなるわけがない。
だけど一言。
たった一言「ごめん」って言ってくれれば許すことはできるかもしれないのに。
「兄貴、ちょっと退いて。」
弟は俺を退かして起き上がり、俺から離れてすぐに戻ってきた。
「ごめんな、兄貴。」
ずっと欲しいと思っていた言葉を、ようやくくれたと思ったのに。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 228