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4ページ目 35 弟side
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「なんでっ!!なんでだよ、兄ちゃん!!兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃんッ!!!」
なんでなんでなんで。
俺が、手を離したりしなければ。
目を離したりしなければ。
兄貴の胸に、俺に刺さるはずだった刃物が深く突き刺さっていた。
白かったはずのTシャツが赤く染まっている。
綺麗な赤じゃない。
黒い。
ドス黒い。
兄貴は俺の上での中でぐったりして動かなかった。
苦しげに浅く、短い息を吐いている。
「あ゛っあ゛っあ゛!!」
噎せ返るような、鉄の匂い。
目からはボロボロと涙が出てきて、呼吸ができなくて苦しい。
苦しいよ、兄ちゃん。
「あ゛ッ、あ゛ッ、………………あ。」
べたっ。
血で赤く染まっているであろう手が俺の背中にまわった瞬間、息ができるようになった。
「あっ…兄貴…。」
「だいじょうぶ、…か。」
途切れ途切れで、弱々しい声。
「兄貴…救急車…。」
今すぐにでも、消えてしまいそうだった。
兄貴の髪がサラサラと首筋に触れた。
「それより、とどめを。」
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