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冷房の効き過ぎた車内。見慣れた景色。
最近頻繁に実家に帰っている気がする。
昨日の夜いきなりおふくろから電話があって「こっちに帰って来なさい」とだけ告げられ、すぐに切られた。
弟に連絡してみたところ今日おふくろの同僚の子供が遊びに来るらしい。
断る理由もないし、断ったらどうなるか分かったものではないからわざわざ早起きして、電車を乗り継いで実家に帰省しているというわけだ。
実家最寄り駅に到着して電車を降りると、寒いくらいだった車内とは打って変わって灼熱地獄。
太陽は容赦なく照りつけてじっとりとした湿気が絡みついてくる。若干風が吹いているだけ今日はまだマシなのだと思う。
「ゆーとーぉ!!」
ホームを出て改札をくぐると小さな男の子が俺の名を呼びながら駆け寄って抱きついてきた。
「建太くん?」
この子が今日遊びに来ている同僚の子供で建太くん。
小学1年生で、会うのはこれで3度目だ。
「兄貴。」
低い声に呼ばれてそちらに顔を向けると先週会った時よりも少し日に焼けた弟の姿。
「あれ、啓太お前なんでここにいるの。」
「メール。見てないの?」
腰に抱きつく建太くんを剥がしてスマホを取り出すと一件メッセージが入っていた。
「待ってる」。そっけないこの四文字のメッセージは十分ぐらい前に送られて来たものだった。
「悪ぃ。見てなかった。建太くん、迎え来てくれてありがとな。」
子供は汗をかきやすいのだろうか。汗でぺったりした髪を撫でると欠けた歯を見せてニコニコ笑っていた。
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