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炎天下の中歩き続け、ようやくスーパーに到着した。
扉が開いた瞬間、店内の冷気に身体を冷やされてもう外に出たくないな、なんてどうしようもないことを思う。
思わず「あー涼しい」、と呟いたら弟にフッと鼻で笑われた。
ちょうど昼時だからか、店内は人が多かった。
後ろを付いて行ったら邪魔になりそうだ。
かごを持って人込みの中に消えて行く弟の姿を見送ってから建太くんとお菓子売り場へ移動した。
休日だからか、夏休みシーズンだからか、ここも親子連れの家族でいっぱいだった。
「好きなお菓子一個選んでいいよ。」
そう言ってあげると、パッと顔を輝かせて迷わず一つのお菓子を選んだ。
「建太くんそれ好きだねー。啓太と好みが似てるのかもね。」
クッキーの上に抹茶チョコが乗っているお菓子。
前回建太くんとスーパーに来た時にもこれを選んでいた。
「けーたも好きなの?」
「小さい頃そればっか買ってもらってたよ。」
「そうなの?じゃあ帰ったらみんなで食べよ!」
「えー建太くんの分が少なくなっちゃうよ?」
「みんなで食べた方がおいしいもん!」
「いい子だね」って言葉で言う代わりに建太くんの頭を撫でた。
「帰ったらすぐに冷蔵庫入れないとね。」
俺の頬は緩みっぱなしに違いない。
家に来たばかりの頃の弟は、何も知らない子供だった。
そんな弟に、おふくろが何でも経験させてやりたいと環境に慣れ始めた頃からあちこちへ連れ回した。俺がいないと泣きだすから、俺も一緒に。
スーパーに連れてくる度、お菓子という物を知らない弟のために1つずつ買い与えていた。
「好きなもの選びなさい」、とおふくろに言われた小さい頃の弟は俺の影に隠れながらも興味深々にお菓子の陳列棚を食い入るようにして見ていた。
だけど一向に俺の後ろから動こうとしないから焦れて選ぶように促すと「兄ちゃんが好きなやつ」、というから毎回毎回俺が適当に選んでいた。
学校へ通い出すようになってからは少しずつ兄離れができるようになってきて、おふくろと二人きりで買い物へ行ったときには必ずそれを買ってもらっていた。
おふくろはいろいろなものを買ってあげたかったみたいだけれど、弟はそれだけで満足しているようだった。
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