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「ここに居たの。探した。」
振り返ると、食品が大量に詰め込まれたかごを持つ弟の姿。
おふくろがやらない代わりに小さい頃から何でも家事をこなしてきているけれど改めてこういう姿を見ると主婦っぽいな、と思う。
「あーごめん、ごめん。啓太もアイス食う?」
「要らない。」
「あっそ。建太くん、決まった?」
お菓子を選ばせた後、アイスとジュースどっちがいいか聞いたら「アイスがいい」と言うから場所を移動して建太くんにアイスを選ばせていた。
「まだー。ゆーとは?」
「俺は決まったよ。」
「う゛ーん…。」
「ゆっくりでいいよー。」
「昼飯前にアイス食うの。」
俺と建太くんのやり取りを見て弟が眉を顰める。
「まぁいいじゃん。」
言うことまでお母さんみたい。
建太くんの優柔不断なところとか、真剣に悩んでいる横顔とか、昔の弟そっくりだ。建太くんを見ていると小さい頃の弟を思い出す。
幼い弟は俺の手をぎゅっと握って食い入るようにしてアイスケースの中を覗き込んでいた。
おふくろは「ケイちゃんに選ばせなさい」と言っていたけれどいつまで経っても決まらないからお菓子と同様、結局俺が選んでたっけ。
「あら、啓太くん。今日はこの時間にお買い物なのね。」
突然声を掛けられて振り返ると知らないおばさん。
「ああ、どうもこんにちは。」
「そちらは?」
「こっちは俺の兄貴で、この小さいのは知り合いの子供です。」
弟の知り合い、なのだろうか。随分親しげだ。
「あらお兄ちゃん!大きくなったわねぇ。」
「ああ、はい、こんにちは。」
「今何してるの?」
おばさんの手が俺の肩に触れた。
視線を感じて弟を横目で盗み見ると、元々吊り気味の目をさらに吊り上げ、ただでさえ不機嫌だったのに目に見えて怒りを露わにしていた。
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