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7ページ目 9 弟side
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「あっちで遊ぼうか」、と兄貴が気を利かせてうるさいのがリビングに移動して行った。
食器を洗って、フライパンを洗って、テーブルの上を拭いて、一通り終えたら俺もリビングへ移動した。
引き戸を開けるとガキは相変わらず釣竿タイプのねこじゃらしで猫と戯れていて、何故か兄貴はソファの上で背筋を伸ばして体育座りしていた。
ガキと俺で兄貴を挟むようにして座り、適当にテレビを付けた。
番組表を表示してみるも特に面白そうなものはやっていなかったから過去に録画したものでも見ようと一覧を表示させる。
「わあ゛!」
いきなり兄貴が低い声を出し、身体をビクつかせた。
その声に驚いて兄貴を見ると、兄貴の座るソファのすぐ足元で猫が糸に括られた羽にじゃれついていた。
「どうしたの。」
「ちょっとびっくりしただけ。ごめん。」
「あっそ。兄貴、なんか見る?」
リモコンを操作して録画履歴を次々表示させてゆく。
「あー…じゃあ上から3番目のやつ。」
「見ようと思ってて忘れてたんだよ」、なんて言う割には全く集中していない。
視線はずっと猫に注がれていた。
身体を強張らせて、体育座りして、絶えず猫の動きを目で追っている。
番組が終わる頃には猫が飽きたのか疲れたのか、窓から外を眺めていた。
その様子を、後ろからガキがじっと観察していた。本当、よく飽きないな。
「あ!」
何かを思い出したように声を発したガキが家から持ってきた大きめのトートバッグから何かを取り出した。
「けーた、これあげてもいい?」
スティックタイプの猫のおやつだった。
「好きにすれば?」
「ゆーとも一緒にあげよう?」
「いや、俺はいいよ。」
「だめぇ~!ゆーとも一緒にあげるの!!」
「えぇー…。」
ガキが兄貴の手を引いて渋々、と言った様子で兄貴が床に足を付けた。
まさかな、とは思っていたけれど。
「兄貴。」
「ん?」
「あんたもしかして猫怖い?」
ある日、兄貴が見ていた猫の動画を一緒に見漁って半日過ごした時があった。
外を歩いていて猫を見かけると「可愛いな」って言って立ち止まって眺めることがよくある。
それなのにゆうたを触ろうとするそぶりが一度もないのを不思議に思っていた。
「んー…見るのは好きなんだけどな。」
苦笑いして言いづらそうに肯定した。
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