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「帰って来たね。」
「「あ。」」
聞きなれた車のエンジン音を聞いて顔を上げると、足元でしゃがみこんで線香花火をしていた2人が同時に声を上げた。
下を向くと、先程までパチパチ音を立てて勢いよく火花を散らしていた火の玉が落ちていた。
「ほら、お母さん帰って来たよ。」
落胆する様子の建太くんに声を掛けると、勢いよく顔を上げてパッと表情を輝かせる。
「母さん!」
「待って。危ないよ。」
今にも車に向かって駆け出そうとする建太くんを引き止める。
まったく、どんだけ真剣だったんだか。まぁ、悪い気はしないけど。
「母さんおかえり!!あのね、ゆーととけーたと花火してたの!ゆうたくんいっぱい触らせてもらえたよ!」
「あら~よかったわね。」
建太くんのお母さんが車から出てくるなり駆け寄って今日の出来事を早口で言う建太くん。
ずっとニコニコしていたけれどお母さんが帰ってきた今が一番嬉しそう。
「おかえり、優子さん。」
「……おかえり。」
「まったく、ウチんのは可愛くないわー。ユウ、後部座席に荷物積んであるから下ろしといて。」
高校生と大学生にもなる息子にそんなものを求める時点でどうかしていると思う。
おふくろは俺に車の鍵を押し付けてさっさと家の中へ入っていった。
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