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7ページ目 22 弟side
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「優子さんッ!!!」
自分でも驚くくらい大きな声が出た。
「…何かしら。」
冷やかな視線が俺に向けられる。
「約束果たすまではあんたもユウも、あたしのモノよ。」
「ッ、分かってるよ!兄貴!!」
腕を掴むと赤ら顔でぼんやり俺を見上げていた兄貴の顔に苦痛の色が浮かぶ。
力任せに引っ張り上げて立たせるとふらついて俺の肩にぶつかった。
何も言い返せないことが悔しかった。
「来い!」
まともに歩ける状態じゃない兄貴を引き摺るようにしてその場を離れた。
完全に八つ当たりだ。
「痛…!」
「うるさい!こんなになるまで飲まされやがって!!」
縺れる足を動かさせ、階段で踏み外して転びそうになっても腕を引っ張って歩かせた。
兄貴は俺のモノだ。
兄貴もそう言ってくれているし、優子さんだって了解してくれている。
ただし約束を果たしたら。
優子さんが俺を引き取る際、俺が背負うはずだった借金の肩代わりをしてくれた。
それを全部返したら養子縁組を解消して兄貴が欲しいと言った。
俺の我が儘を優子さんは了承してくれた。
借金の一部を返済したら我が儘を聞いてくれると約束してくれた。
約束が果たされた時、兄貴は完全に俺のモノだ。
だけどまだ、その時ではない。優子さんに頼んでバイトさせてもらっているけれどまだまだ遠く及ばない。
「けぇたぁ…。」
俺の部屋のドアが開き、俺がいなくなっていたからか、下がうるさかったからかは知らないが半ベソ状態のガキが起きてきた。
ガキに遮られて足を止めると兄貴が勢いよく俺の背中にぶつかった。
「一人で寝てろよ。」
「やだぁ!!けーた一緒って言った!!」
前から俺にしがみついて、本格的に泣きだした。
「後から行くから先寝てろ!」
ビクッと身体を強張らせ、一瞬にして泣き止んだ。
「…絶対だよ?おれ待ってるから。」
乱れた髪を梳いて整えてやる。
それだけで幾分か落ち着いたようで、大人しく俺の部屋に戻っていった。
ああ、本当最悪。
こんな小さい子供にまで八つ当たりしてしまうなんて。
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