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外からは建太くんがはしゃいでいる声が聞こえる。
「あたしねー娘が欲しかったのよ。」
「分かるわ~。自分の子に可愛いお洋服とか着せるのが憧れだったのよね。」
引っ張られたのは案の定、酒の席。
おふくろも建太くんのお母さんもすでに酒が入った状態で、俺の前にもコップ一杯の日本酒が注がれている。
おふくろの言い方に棘があるのはきっと気のせいではない。
娘だったらバレエを習わせてみたかった、娘だったら一緒に料理作ってくれるのに。息子じゃなくて娘が欲しかったと、事あるごとに何度も何度も言われて来た。
それも、蝶よ花よと可愛がっていた弟には言わずに俺ばかり。
ガキだった俺はそんなこと言われて面白く思うはずがなく、言うことを聞かなかったり反抗的な態度を取ってみたり捻くれる一方だった。
その度に小さかった弟が必死に俺のフォローをして俺とおふくろの仲を取り持っていた。
それでおふくろはますます弟を可愛がって、弟と俺を比べたりして不満が募る一方だったのだが俺も弟のことが可愛かったから憎めなくて結果弟のおかげで丸く収まっていた。
今思えば弟に嫉妬していたのかもしれない。
親父に「母さんが啓太ばっかり可愛がる」、と泣きついたことがあった。俺の黒歴史。
外からは相変わらず楽しそうな声が聞こえてくる。俺もスイカ食って外で花火していたかったな。
「だから孫は女の子がいいと思っていて。」
前に座っていたおふくろが酒を片手に一瞬だけ俺を見る。
いきなり何を言い出すかと思えば、そういうこと。
「ケイは何人か女の子連れてきたことがあったけどこいつは一人も彼女できたことがないのよー。」
「えー優斗くんモテそうなのに!彼女いないの?」
「いないですねぇ。モテたことないですよ。」
「優斗くん格好いいのに。」
酒が回ってきたのか、隣に座っている建太くんのお母さんの腕が俺の腕に絡んできた。
「ユウよりケイの方が早く結婚しそう。」
「それはないでしょー。優斗くんの方がお兄さんなんだし。」
とりあえず、苦笑いした。
おふくろがそう易々と弟を手放すとは思えない。第一、弟が女の子を連れてくる姿が想像できない。
弟が好きなのは、俺なのだから。
「ケイは早いうちに結婚して、5人くらい子供作ってそう。ケイは相変わらずしれっとしてるけど奥さんは幸せそうでユウと子守してる。」
「…俺が啓太の子供の面倒見るの?」
「あんた子供好きでしょ。」
「そうだね。啓太の子供ならみんな美男美女なんだろうね。」
おふくろが目を丸くして俺を見た。
「優斗くんは?」
「ユウ?ユウはね、30近くで結婚して子供は2人くらいかな。」
穏やかな顔でしんみり言うおふくろに「その頃には立派なおばあちゃんだな」、って言ったら「死にたいの」って睨まれた。
目が据わっていた。
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