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12ページ目 23 弟side
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「俺さ、結構頑張ったんだよ。好きでもない奴好きになろうとするの。だけどどうしてもそれができなくて、だったら肉欲に溺れてみようと手当たり次第抱いてみたりしてさ。」
兄貴への想いを自覚した時――初めて兄貴にキスした日以来、俺は自暴自棄になっていたのだと思う。
そうせずにはいられなかった。
俺を見る兄貴の目には軽蔑の色が浮かんでいるようだった。無理もない話だ。自分でも最低だと思う。こんな自分を兄貴に知られたくはなかった。
「だって駄目でしょ。兄貴が好きだなんてさ。」
「啓太…。」
「俺もあんたも男なんだし、もしかしたらそっちの気があるのかもって思ったこともあるけど想像するだけで吐き気がしたから試してはないんだけど。」
急に身体が傾いた。兄貴が、肩を抱いてくれた。
「そんなことしなくていい。苦しかったろ?気付いてやれなくて、ごめん。」
兄貴の肩に身体を預けると、強く抱いてくれた。
「謝らなくていい。俺が勝手に好きになったんだ。」
たくさん悩んだし、常識や倫理観に苛まれて苦しかった。
自堕落するのは悪くなかった。堕ちるところまで堕ちてみようと思ったけれど、できなかった。楽になりたかったけれど、苦しくなる一方だった。
俺の一方的な想いだ。兄貴が謝る必要など何処にもない。
兄貴の肩にもたれて目を閉じた。兄貴はこんな俺を受け入れてくれた。幸せだった。
「今日見た夢、な。」
「うん。」
兄貴が歯切れ悪く口を開いた。
「お前を抱いている夢だったよ。」
「…うん。」
「だけど夢の中のお前は女だった。…ごめん。」
それでも、相手が「俺」でよかったよ。
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