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言わなければよかった。
「寝直すならちゃんとベッド行けよ。」
俺の腕をすり抜け、弟が立ち上がった。
「お前はどうすんの?」
「いつもこの時間には起きてるって言ったでしょ。猫に餌やって洗濯機回す。」
いつもの調子で話す弟の表情は暗かった。
「あ、そうだ。」
廊下に置いてあるスリッパに片足を突っ込んだ時、弟が思いだしたように俺を振り返る。
「キスされたって話、あれ嘘だから。」
ようやく鎌を掛けられたのだと気付いた。うまく誘導された。
早朝にこっそり下着を洗っているということはソウイウ夢を見たのだろうと容易に想像はつくだろうが、決して口数の多くない弟が話術に優れていたとは驚きだった。
弟の言うことに従ってしんしんと冷え込む廊下を通り自分の部屋に戻ってきた。
ベッドに寝そべり、掛け布団を手繰る。温かかったはずの布団はすっかり冷えて足を入れるとひんやりしていた。一人用のベッドなのに、やけに広く感じた。
目を閉じれば夢で見た弟の姿が瞼の裏に浮かんだ。なかなか寝付くことが出来ず、寝返りを繰り返しているうちにいつの間にか眠っていたらしい。
「っあ、はぁん、は、あ。」
鼻にかかったような、苦しげな低い声に意識が浮上してゆく。遠くで聞いていたその声が自分の口から発せられているのだと知った瞬間、一気に目が覚めた。
布団のぬくもりとは違う、ねっとりとした異様な温かさが俺の下肢に纏わりついていた。
「おい!何をやってる!!」
勢いよく布団を剥がすと、俺の下肢に蹲っている弟と目が合う。こもっていた熱がまるでなかったかのように一瞬で身体が冷えた。
「抱いて欲しい。」
「は!?」
俺の性器から口を離し、真っ直ぐ俺の目を見つめながら言う。
「夢の中のあんたは俺を抱いてくれたんだろ?教えてよ。夢の中のあんたはどういう風に俺を抱いたの?」
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