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少々手荒く布団を剥がすと弟が目を丸くして俺を見つめた。
「男だからとか女だからとかじゃなくて、「啓太」だから、だよ。なんで分かんないかなぁ!」
呆れてため息が出そうなのをなんとか堪えて弟と目を合わせて言う。
「じゃあ、どうして…。」
こいつの言わんことは分かる。弟の言葉を遮った。
「お前が悪いんだからな!!お前がスカートなんて穿いて見せるから…。」
俺から先に目を逸らした。弟がふっと笑った気がして、弟に視線を戻した。
「ズボンの上からだったじゃん。」
「ああそうだよ!!」
弟に笑われたのがなんだか悔しくて投げやりに言葉を返した。
「よかった。兄貴に嫌われてたらどうしようかと思った。」
頬を緩ませて言葉通り安堵したように呟く弟。
「いちいち大袈裟なんだよ、お前は。」
頭に置いた手を取られ、弟の頬に添えるようにしてその上に弟の手が重なった。
「俺、やっぱり兄貴の手好きだよ。温かい。」
「そんな格好してるからだよ。唇、紫だよ。」
触れている頬も、重なっている手も冷たかった。ついでに布団から出ている腕は鳥肌が立っていた。取られている手の親指の腹で紫色の唇に触れるとここも例外じゃなくて、乾燥して少しカサカサしていた。
「キスして、兄貴。」
「男やめてもいいとか馬鹿なこと言わないって約束できるならしてやる。」
「ん。するから…。もう言わない。」
腰を屈めて、弟と唇を重ねた。唇の体温を奪われるんじゃないかと思うくらい、ひんやりと冷たかった。
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