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体育館
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入学式はもう3年も前になる。
僕はそこそこの高校に入学した。
偏差値はやや高く、部活動も特に秀でていない至って普通の進学校だ。僕の頭ならばもっと上を目指せると進路担当の教師に言われたが応じるつもりはなかった。
自分の人生は自分で決める。僕が行きたいと言ったらそれが正しくあるべきなのだ。
ちょっと今思えば中二病だったかもしれない。
その時は満足していたが、入学式を終えると早くも後悔が襲ってきた。
まだ少ししか味わっていないがこの空気に馴染めないと理解する。なんというか、自分とはまったく違う雰囲気なのだ。肌に合わない。
頭の良かった僕とはあからさまに違う空気。疎外感。孤独感が襲う。
体育館で行われた入学式の席で新入生代表として文章を読むことになった僕に向けられる無機質な目玉の数々。まるで喋る置物を見るように僕を見る。見る。見ていた。見られていた。
とてもいいものとはいえない視線にさらされ気分が悪くなる。倒れることができるならどれだけ楽になるだろうか。足が軽く震えながらも僕は壇上から姿を消した。
隣の生徒が帰ってきた僕をちらりと見てまた下を向く。
ああ、人間ってこんなもんか。
関係のない人には全くの無関心になれるものなのか。急に現実を味わわされた僕は吐き気を抑えながらずっと下を向いていた。
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