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冷めない熱
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「すまないが、もう一度やり直してくれ」
そう一言告げれば、目の前にいる女は
あからさまに嫌そうな顔をする。
「…はい」
ムスッとして 彼女は自分のデスクへ戻った。
「うーわ、またやり直し?」
「ま、鬼課長だもんねー」
「本当、鬼。」
こう言われることにも もう慣れてしまった。
僕が課長に昇格したのは 5ヶ月前のことだった。
もともと口数も少なく 黙々と仕事に取り組んでいたので
誰からの文句もなかった。
「課長、これこの前の資料です」
資料を差し出す男の左薬指には
シルバーのリングが光っている。
つい先月、この男、
相沢良太(アイザワ リョウタ)が入社してきた。
無駄口も少なく 仕事のミスも少ないこの男は
明らかに“出来る”やつだった。
その上 顔も整っているので 皮肉なものだ。
「あぁ、ありがとう」
なんでもないように資料を受け取る。
きっと相沢は考えもしないだろう。
僕が“君にいじめられたい”なんて、思っていることは。
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