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冷めない熱
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あの後 相沢は仕事のため部屋を出て行き、僕はラブホテルに取り残された。
チェックアウトの時間まであと30分。
風呂に入って帰る準備をするほどの余裕はない。
「…はぁ」
ベッドに寝転び まず出てきたのはため息だった。
僕は何をしているんだろう。
部下への好意も隠せないで、痴態を晒して。
もうどうしようもないことだが 自己嫌悪に陥りそうなくらいだ。
相沢の匂いのするベッドで そっと目を瞑ると
彼と過ごした時間が蘇ってくる。
相沢の手は 僕とは違って温かく
相沢の声は 低く優しく頭に響き
相沢の舌は そっと脳内を犯して。
思い出すだけでじわじわと身体が疼く。
いっそのこと抱かれたかった。
そんなふうにも思ってしまう僕はおかしいのだろうか。
きっと酔っていなかったら
“抱いて欲しい”と泣きすがっていた。
彼も僕を抱いてしまえば
きっと忘れられなくなるんじゃないか。
僕の身体だけでも必要としてくれるんじゃないか。
正直 そんなずるい考え方をする僕に
自分でも呆れていた。
だけど 考えずにはいられない。
人間は皆 後悔して生きていくものだ。
だけど
“次はいつ彼に触れてもらえるだろうか”
心の奥底では 淡い期待を抱いて。
彼に触れられた頬。
彼の声を聞いた耳。
快感に溺れたカラダも。
どうしてまだこんなに 火照っているのだろうか。
ココロもカラダも 全部彼に溶かされてしまったみたいで。
熱はいつまで経っても冷めなかった。
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