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アイのカタチ
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定刻を過ぎると 社内はだんだん寂しくなっていく。
時間が経つにつれて社員が減っていき
やがて残っているのは僕だけになる。
もしも相沢と続いていたら
ここには相沢がいたのだろうか。
仕事が終わったらご飯を食べて 優しく触れて。
終わったことをいつまでも引きずるのは
僕の悪い癖だ。
夕日が染めていく町を ボーッと眺める。
夕焼けは僕には少し眩しすぎるようだ。
「相沢…」
ポツリと呟いて ため息を零す。
“幸せ” なんて 一瞬で
とても、儚いものだ。
手を伸ばせば フワフワと逃げて。
やっと捕まえたと思えば 簡単に壊れて。
だけど とても温かいもの。
相沢と過ごした時間は とても温かかった。
一緒にいるだけで “幸せ” だった。
触れ合うだけで “安心” を感じた。
声を聞くだけで “トキメキ” を覚えた。
三十路を超えた男の傷は なかなか癒えない。
いつまでこんな恋愛を繰り返すのだろう。
追いかけて追いかけて、たった一人の男に溺れて。
いっそのこと僕を抱いて欲しかった。
そうすれば相沢の中に 少しでも居座れるだろう?
相変わらず 歪んだ思考だと思う。
だけど それぐらい相沢を想っていた。
僕は本当に
いいように遊ばれただけなのだろうか。
いや、きっと 違うだろう。
相沢の“好き”という言葉は
本心だったような気がした。
相沢が僕に触れた手からは
“好き”が溢れていたような気がする。
繋がれた手からは愛情が。
キスの前の震えた唇からは緊張が。
胸元に手を添えれば相沢の鼓動が。
全部、伝わってたよ。
嘘つき。
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