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アイのカタチ
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結局 相沢に追いつくことはできなかった。
大通りを外れ バス停のベンチへふらふらと向かい、
やっとの思いで腰をかける。
「ッ…ふ……ぅ゛…」
溢れる涙が コンクリートに染みを作る。
相沢。
僕はここにいる。
「…迎え、に…来てッ」
届くはずのない願い。
報われることのない思い。
わかっていても まだ諦めきれない。
相沢は僕の世界に彩りを添えてくれた。
モノクロの世界に 色をつけてくれた。
そんな大切な人をどうしたら諦められるだろう。
「信幸?」
聞き覚えのある声のする方へ顔を向ければ
そこにはかつて愛した人がいた。
「…泣いてんのか?」
少しずつ距離を縮めてくる浩之。
…嫌だ。来ないでくれ。
反射的にそう思った。
「ッ…来るな…、…来るなよッ…!」
泣いているところを見られたくない。
同情なんてされたくない。
弱い自分を見せたくない。
浩之に慰められたくない。
浩之の優しさに、漬け込みたくなるから。
「ッ…!」
相沢とは違う、懐かしい温かさ。
抱きしめられている。
そう自覚するのに少し時間がかかった。
「信幸…」
だめだ。
浩之に甘えるのは、だめだ。
心が必死に叫んでいた。
…なのに。
「ッ…う……ぅ゛……、ッ…」
僕の傷は“優しさ”という“癒し”を求めた。
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