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アイのカタチ
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佐伯さんを見つけた時には
もう、手遅れだった。
「ッ…う……ぅ゛……、ッ…」
少し先のバス停で 佐伯さんは泣いていた。
そんな佐伯さんを抱きしめているのは
あの時の男だろうか。
「…佐伯…さんッ、来たよ…」
佐伯さんには届く事の無い声が
夜空に虚しく消えていく。
佐伯さんの姿がうまく見えないのは
きっと、涙のせいだろう。
もう、遅いよな。
佐伯さんが好きで。
でも好きだからこそ、傷つけてしまう。
大事にしたいのに、それができない。
「…ご…めん…ッ」
そう一言呟いて 踵を返す。
佐伯さんのことは 本当に好きだった。
俺にだけ見せる笑顔が好きだった。
俺の名前を呼ぶ声が好きだった。
今だってそうだ。
だけど今の自分には
佐伯さんを幸せにすることはできない。
俺といればまた、佐伯さんは涙を流すだろう。
そんな姿はもう、見たくない。
だからこそ
この恋は終わらせるべきだ。
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